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いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。
日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、アフリカ各国との交流事業をレポート。今回は、山形県遊佐町・宮崎県えびの市、北海道大空町・高知県本山町ならびに土佐町の取り組みを紹介する。
【山形県遊佐町・宮崎県えびの市✕マダガスカル共和国】マダガスカル共和国渡航
「一般社団法人 地域魅力化プラットフォーム」が推進する「みらいハイスクール構想」の共創校である「山形県立遊佐高等学校」(山形県遊佐町)と、「宮崎県立飯野高等学校」(宮崎県えびの市)。この両校の生徒を含む10人の交流団が、2024年12月24日~31日の日程でマダガスカル共和国へ渡航し、現地の高校生や大学生との交流を行った。

初日に訪れたのは、アンタナナリボ大学の日本語教育施設。同校の学生や、ジュールフェリー高校とナニサナ高校の生徒らも集まり、遊佐高校と飯野高校の生徒が、各自治体や高校の魅力を紹介した。また、日本人をマダガスカル人が囲んで日本語で会話したり、ソーラン節やラジオ体操、現地の伝統ダンスを会場の全員で踊ったりなどした。


2日目は、ジュールフェリー高校とナニサナ高校の施設見学や模擬授業体験を実施。現地の公立高校は十分に環境が整備されているとは言えず、2階の廊下に穴が開いていたりチョーク不足を水で対処していたりといった現状を見て、日本人生徒たちは驚いた様子だった。

高校訪問を終えたあとは、全員で日本食とマダガスカル料理を作る「Farewell Party」を、ラクトマナナ先生の自宅と隣の家を借りて開催。日本からはカレールーとインスタントラーメンを持参し、マダガスカルの食材を使用して調理を行った。最後にマダガスカルの生徒がギターを演奏し、日本の音楽を全員で歌って閉会した。日本の高校生は、みんなで手作りしたキーホルダーをマダガスカルの生徒にプレゼント。涙を流す生徒もおり、短期間ではあったものの、国境を超えた友情が生まれたようだ。


最終日には、マダガスカルの5人の大学生と高校生が、マダガスカルをフィールドワークとして案内してくれた。ローカルマーケットではその国の経済事情が窺え、マダガスカル人を日本に誘致するには、奨学金や公的なサポートの整備を早急に検討していく必要があると再認識したようだ。

今回のマダガスカル共和国訪問は、生徒たちの価値観やキャリアの選択肢が広がるきっかけとなったようだ。これまでは「大阪・関西万博」が遠い存在だったものの、渡航を経て万博が世界の文化の祭典であると認識してからは、渡航した生徒はもちろん、それ以外の生徒からも「万博へ行きたい」という声を聞くことができたとのこと。

万博会期中には、マダガスカル共和国の生徒たちと教員を、「大阪・関西万博」へ招待予定。また、マダガスカルの渡航メンバーを2班に分け、遊佐町とえびの市でそれぞれ留学体験を実施するという。ゆくゆくは、マダガスカルの生徒を両市・町で受け入れることを目指している。
【北海道大空町・高知県本山町ならびに土佐町✕セーシェル共和国】現地視察・交流
北海道大空町と高知県本山町・土佐町の各町は、「北海道大空高等学校」(北海道大空町)と「高知県立嶺北高等学校」(高知県本山町・土佐町) が「みらいハイスクール構想」の共創校であることから、合同でのセーシェル共和国視察・交流を計画。各高校から生徒3名ずつと教員がセーシェル共和国を訪問した。

2025年1月21日~26日の日程で行われたセーシェル共和国の視察では、まず現地の公立中等教育学校2校へ足を運んだ。「English River Secondary School」では、同校の教員や、ホスピタリティクラブのメンバーを中心とする50名ほどの生徒より、セーシェル共和国の音楽やダンス、遊びなど現地文化の紹介があった。また、同国の歴史に関するレクチャーや、観光庁施策としての観光教育のあり方などについて学んだ。


「Anse Royale Secondary School」では、日本の高校生による書道教室を実施したほか、今回の交流を記念した壁画アートの共同制作が行われた。さらに同日、日本への留学経験があり、教育省管轄の社会教育機関にて日本語教育を行うソフィー・モーガンさんと面会し、セーシェル共和国の中高生の日本留学実現に向けた意見交換を行った。


1月24日には、セーシェル共和国の教育省と観光庁を訪問。日本側からは、日本の教育政策や各高校の紹介のほか、「大阪・関西万博」についてもプレゼンテーションを行った。教育省では、万博に際したセーシェル共和国生徒の訪日について意見を交換。観光庁では、両道県の観光政策についての紹介や、万博開催時のセーシェル共和国パビリオンへの協力について話し合った。

今回の訪問をきっかけに、大空町と本山町・土佐町の生徒が万博会期中にセーシェル共和国の生徒と一緒に万博会場を訪れるほか、各町への招待も予定。また、観光庁の協力を得ながら、万博でのセーシェル共和国パビリオンにて、何らかの交流を実施することも検討しているという。今回の訪問をきっかけに、将来的には各町とも、セーシェル共和国からの留学生の受け入れ実現を目指していくそうだ。
さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!
ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、アフリカ諸国を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?
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