【万博国際交流プログラムレポート/中南米編01】京都府とチリの交流の様子

2025年3月19日

いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。

日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、中南米各国との交流事業をレポート。今回は、京都府の取り組みを紹介する。

京都府とチリのつながり

京都府立医科大学は京都府と強力な連携のもとで府内唯一の政策医療の担い手として質の高い医療を提供している。また、教育・研究の面でも優秀な人材育成のために国際化をテーマの1つに掲げ、2024年3月にチリの首都サンティアゴにあるロスアンデス大学と、学生・医師の国際交流のための協定締結を行っている。実は、チリの医療は保険制度など日本と異なり、大腸癌については発見された際の半数以上はステージIVという治癒困難な状態であるという。

そういったのチリの状況を踏まえてロスアンデス大学と京都府立医科大学の協定を土台に、京都府との連携、在日チリ共和国大使、在チリ日本大使の協力を仰ぎながら、大阪・関西万博に向けて、チリの医療、地理、文化、言語などの情報共有を図り、さらに交流を深めていくこととなった。

  


府民公開講座「日本とチリの大腸癌診療の最前線」

2024年10月12日のセミナー開催に際する事前のミーティングとして、10月10日に東京の在日チリ大使館にチリの医師3名と京都府立医科大学の夜久学長及び消化器内科の吉田講師の5名が訪問。今回の府民公開講座について、Ricardo Rojas大使と本講座の登壇者のNury Disegni外交官に概要を説明した。あわせて、今後のチリでの大腸癌検診の啓発について、京都府立医科大学とロスアンデス大学がともに交流を深めていくことを要請した。

10月12日には、京都府立医科大学図書館ホールにおいて府民公開講座「日本とチリの大腸癌診療の最前線」を開催。チリから医師3名を招聘し、135名の一般参加者(オンラインによるチリからの参加を含む)に日本とチリの大腸癌検診の現状、最新の大腸癌診療、両国の文化の違い、大阪・関西万博への取り組みについて紹介するなどして交流を深め、万博の機運醸成を図った。また、翌13日の朝には、本講座の関係者が集い総評を行った。

 

 


府民公開講座「日本とチリの大腸癌診療の最前線」

11月2日には、 京都府立医科大学の文化祭である「トリアス祭」において、同校広小路キャンパス看護学舎にてワークショップや大腸癌診療の最前線とチリの文化、大阪・関西万博の紹介を行った。今回もチリから医師1名を招聘し、日本とチリの大腸癌検診の現状、最新の大腸癌診療、両国の文化の違いや大阪・関西万博の取り組みについて紹介。交流を深めるとともに、万博の機運醸成を図った。

 

 


府民公開講座「内視鏡、がん検診のことを知ろう」

こちらの講座についても、事前イベントを1月28日に京都府立医科大学消化器内科医局において開催し、当日に向けてシステムエンジニア及びチリより研修で来日中のErik Manrizuez医師と相談を行うとともに、消化器内科の医局員20名に対してチリにおける大腸癌や文化についての講演を行い、交流を図った。また、1月29日には京都府立医科大学附属病院内視鏡室において、同大学4回生5名との交流や、病院内見学による各部署との交流、内視鏡についてのハンズオンセミナーを行い、医局員8名・技師2名と内視鏡実技の交流を行った。

そして2月2日に、京都府立医科大学附属病院北臨床講義棟において府民公開講座「内視鏡、がん検診のことを知ろう」を開催。同院で研修中のチリの医師から日本とチリの大腸癌検診の現状についての話があり、ほかにも最新の大腸癌診療、両国の文化の違いや大阪・関西万博の取り組みについての紹介を行った。さらに、これらのテーマに関連した3つの動画を作成し披露することで交流を深め、万博の機運を高めていった。

 

 


万博期間中には、万博参加者の増加に向け、引き続きいくつかの府民公開講座を行っていくという。また万博閉会後には、今回深まった交流を生かしてチリに赴き、現地での大腸癌検診の導入や内視鏡医の育成などの活動につなげていきたいそうだ。

さらに、チリのロスアンデス大学や保健省、両大使館などの各部署との交流を深めるため、双方に行き来できるような取り組みを継続していく予定。ほかにもZoomなどを活用した定期的なミーティングも実践していくそうだ。さらには、大学間の大腸癌に関する国際共同研究や学生への講義なども行うことでより広い交流ができる可能性にも着目し、計画を進めていく考えだという。

さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!

ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、中南米を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?

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