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いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。
日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、アフリカ各国との交流事業をレポート。今回は、北海道浦幌町、大阪府交野市、沖縄県宜野座村の取り組みを紹介する。
【北海道浦幌町✕マリ共和国】パブリックビューイング・マリ共和国の子どもたちとの交流事業準備・靴を届けるプロジェクト
2024年7月28日、パリオリンピック2024の男子サッカーにおいて、日本対マリ共和国の試合が行われた。そこで、北海道浦幌町内のレストランではこの試合のパブリックビューイングを開催。在マリ日本大使館や、2025年日本国際博覧会協会副会長のウスビ・サコさんとオンラインで接続しながら観戦することで、マリ共和国との交流を実施した。


パブリックビューイング会場には、在マリ日本大使館の次期大使である村田優久夫さんを招待し、浦幌町とマリ共和国の今後の発展や交流についても話があった。浦幌町長および「子どもの想い実現ワークショップ」の座長である高室智全さんも参加し、万博についての話を行ったあと、参加者とともに観戦。会場は大いに盛り上がったようだ。

また、2024年8月10日~24日にかけては、浦幌町の視察団がマリ共和国を訪問。在マリ日本大使館や、マリ共和国子ども女性館に足を運び、万博関連施設への協力依頼や、万博実施に向けた関係構築を進めた。

さらに、現地の小学校や子ども施設で、子ども交流イニシアティブの実証プログラムを実施。これは、マリ共和国の子どもたちが、自分の将来の夢や希望を絵に描き、浦幌町の子どもたちと共有するといった内容だ。絵を通じて、異なる国の子どもたちが抱く夢や希望を視覚的に感じ取ることができ、国際的な交流の大きなきっかけとなったようだ。

なお、子どもスポーツ交流の一環として、マリ共和国の子どもたちへ靴を届ける事業も行われた。浦幌町の子どもたちが集めた靴を、マリ共和国の子どもたちへ提供。靴が届けられると、現地の子どもたちは非常に喜んだ様子で、早速スポーツや日常生活での使用を始めたそうだ。

マリ共和国現地で事業を進めるなかで、「もっと浦幌町や日本と関わりたい」という声がマリ共和国側から上がり、マリ共和国における日本との国際交流の気運が高まったという。その結果、浦幌町とマリ共和国に拠点を置いた民間の法人が立ち上がることとなった。

万博会期中は、8月2日の「マリ共和国ナショナルデー」に向けて、浦幌町でマリ共和国との音楽ワークショップや、アートを通じた交流を行う予定。ナショナルデー当日には、浦幌町の子どもたちが万博会場を訪れ、これまでの国際交流の取り組みを発信するほか、交流事業も企画しているそうだ。

【大阪府交野市✕エチオピア連邦民主共和国】音楽グループ「Fendika」との国際文化交流
大阪府交野市では、2024年10月11日~13日にかけて、エチオピア連邦民主共和国との国際文化交流事業を実施。エチオピアのアジスアベバを拠点とする音楽グループ「Fendika」らを招き、コンサートやワークショップが行われた。

初日には、Fendikaが市内の小学校を訪問して文化交流を実施。小学生による和太鼓演奏やFendikaのパフォーマンス、質疑応答を通じて交流を深めた。また給食時には、Fendikaのメンバーが子どもたちに交じってエチオピア料理を食べながらコミュニケーションを取るなど、濃密な時間を過ごした。

10月12日には、「交野市立いわふね自然の森スポーツ・文化センター」(大阪府交野市)にて、参加費無料の国際交流コンサートを開催。地域住民約250人が集まった。まずは、Fendikaのマシンコの演奏から始まったこのイベント。ほかにも、大阪関西万博テーマ事業プロデューサーの中島さち子さんと、国立民族学博物館・総合研究大学院大学教授の川瀬慈さん、Fendikaの代表メラクさんという3名によるトークセッション、Fendika、KURAGE BAND、サエキ囃子のコラボレーション演奏などが行われ、大いに盛り上がったそうだ。


最終日となる10月13日には、Fendikaとサエキ囃子によるワークショップを実施。「ベンガラ染めWS」では、エチオピアの手縫いの布と交野市の良質な泥土、水を使用したベンガラ染めの体験を行った。また、エチオピアの楽器演奏体験も催され、エチオピアの楽器であるマシンコやベゲナの演奏を体験した。初めての楽器を前に子どもたちは緊張していたが、大人が体験する姿から興味を持ち、楽しく演奏することができたようだ。


「大阪・関西万博」では、「いのちの遊び場 クラゲ館」で、サエキ囃子の練り歩きやFendikaとのコラボレーション演奏、「いのちパーク」におけるライブイベントなどを予定している。また、交野市とエチオピアの子どもたちのオンライン&リアルの交流や、メディア発信・広報を通して、交野市民のイベント参加促進に取り組むとのこと。

会期後も、エチオピアという国のことを身近に感じられるよう、さまざまな交流事業を行っていきたいという交野市。今回の交野市とエチオピアの国際交流プログラムを体験した子どもたちが、万博を通して、よりグローバルな視点を獲得し、国際的な交流を深めたいと自発的に感じるようになることを期待しているそうだ。
【沖縄県宜野座村✕カメルーン共和国】カメルーン共和国の紹介と国際音楽交流コンサート
沖縄県宜野座村では2025年1月20日・21日に、カメルーン共和国の紹介活動と、国際音楽交流コンサートが行われた。
カメルーン共和国の紹介活動では、カメルーンのバカ族の暮らしや文化を体験するワークショップを開催。宜野座村内3つの小学校から生徒76人が「宜野座村ふれあい交流センター」(沖縄県宜野座村)に集まった。

子どもたちは民族衣装をまとい、カメルーンの森へワープする設定からスタート。バカ族の人たちの生活に根付く歌や踊り、狩猟採集生活を疑似体験した。このワークショップでは、子どもたちが日本とカメルーン共和国の生活習慣の違い・共通点について、改めて考える機会となったようだ。


また、同じく「宜野座村ふれあい交流センター」で開催された「国際音楽交流コンサート」には、200人の村民が参加し、駐日カメルーン大使も招待された。コンサートでは宜野座村のエイサー団体による演舞や、在日本カメルーン音楽大使らの三線演奏などが行われた。


また、人類学者・矢野原佑史さんがカメルーン共和国を紹介したほか、DJとしてKURAGE BANDの演奏に、カメルーンの森で録音した自然の音をミックスするコラボレーションもした。

今回のイベントに参加した子どもたちからは、「獲物をみんなで分け合うことが印象的だった」「もっとバカ族について知りたい」「三線や自分たちの伝統音楽と、バカ族の音楽を一緒にやってみたい」といった感想があったそうだ。

今後は2025年7月末〜8月中旬にバカ族が来日し、沖縄へ訪問予定。宜野座村では、村内にある3つの小学校でバカ族とのワークショップを行い、カメルーン共和国やバカ族の文化と、沖縄や宜野座村の文化について学び合う。また、村内3つのエイサー団体による万博会場での演舞披露を計画中とのことだ。

さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!
ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、アフリカ諸国を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?
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