いよいよ2025年4月13日(日)に開幕が迫る「2025年日本国際博覧会」(通称:大阪・関西万博)。この大阪・関西万博の開催を前に、そこに参加する国や地域との相互理解や国際交流を通じて、地域の課題解決や活性化を図る取り組みを内閣官房が支援する「万博国際交流プログラム」が実施されている。
日本の参加自治体は、地域住民などと交流相手国の万博関係者や出身者との交流事業を通して、万博の理念や共通の課題等への理解を深めるための事前学習を行ってきた。そこで、この記事では「万博国際交流プログラム」を活用した自治体による、中南米各国との交流事業をレポート。今回は、三重県の取り組みを紹介する。
三重県とブラジルのつながり
三重県は1973年にブラジルサンパウロ州と姉妹提携を締結し、5年ごとに代表団派遣等の交流事業を実施している。2023年には姉妹提携50周年を迎え、三重県知事が訪伯し、サンパウロ州政府を訪れたり、「ブラジル県人会創立80周年・三重県人移住110周年・三重県サンパウロ州姉妹提携50周年記念式典」へ出席したりした。
また、三重県は県内産業において自動車、電子機器などの製造業の割合が高く、ブラジルをはじめとする日系3世までの外国人住民の就業先の多くがこれら産業となっている。そういった背景もあり、ブラジル人の在留数は全国3位(2024年6月末時点)で、共生社会の構築が重要な取り組みとなっている。さらに、三重県には大都市圏に比べて国際交流の機会が限られた状況にあるという課題も。
そのため、万博国際交流プログラムを活用し、ブラジル(サンパウロ州)との友好深化を進めることで、青少年の相互理解促進や県内若者の国際的な視野の拡大を目指してきた。以下では、それらの活動について詳しくお伝えする。
ブラジル大志万学院の訪日教育旅行
大志万学院は、ブラジルにおいて日本語教育の発展と日本文化の普及に貢献したほか、教育分野での交流・友好親善の促進に顕著な功績をあげたことから、先述した「先述した「ブラジル県人会創立80周年・三重県人移住110周年・三重県サンパウロ州姉妹提携50周年記念式典」において、同学院の創設者に海外功労者表彰を授与。
そんな大志万学院では、日本の生活様式や伝統文化を学ぶため、隔年で訪日教育旅行を実施しており、今回は2024年12月から2025年1月にかけて、学生と引率教員を含む52名の訪日教育旅行を企画・実施。その旅程のなかで、三重県を訪れた際の取り組みを紹介する。

体験民宿に泊まり三重の歴史文化を体験
ブラジルの学生たちは1月15日~17日の2泊3日で体験民宿に泊まり、米の釜炊き、五右衛門風呂、囲炉裏での食事、野菜の収穫などを体験。今回宿泊をした大紀町農林漁業体験民宿は、海、山、川など自然に囲まれた場所で、昔ながらの木造の日本家屋に宿泊するなどの体験を通じて、海外の学生にとって日本の伝統的な生活様式を学ぶ絶好の機会となった。


高田中・高等学校とセントヨゼフ女子学園との交流
高田中・高等学校の学生297人、セントヨゼフ女子学院の学生150人が交流に参加。授業や昼食時間の交流を通じて、スポーツや音楽の話題などで親交を深めた。
みえグローカル学生大使による伊勢神宮(外宮)案内
1月17日は、みえグローカル学生大使(※)である皇学館高校の5名が参加。伊勢神宮(外宮)および式年遷宮記念せんぐう館を訪問し、「神宮研究」など日頃の学習の成果を活かしながら、大志万学院の学生に伊勢神宮の歴史を紹介した。
※三重県内にて国際交流や国際貢献といった活動を継続的に行う高校生及び大学生等を、知事が委嘱し、県がその活動を支援する制度。


今回の取り組みを通して、両国の若者の国際的視野を広げ、グローバルな課題解決に取り組む人材を育成する基盤となった。例えば、伊勢神宮訪問や体験民宿での日本の伝統的生活様式の体験や民宿オーナーによる温かいおもてなしは、日本人のメンタリティやおもてなし文化を体験する機会となり、文化だけでなく精神性の面からも多くの学びが得られただろう。実際に、大志万学院の学生からは「日本の伝統文化を学べて、一生の思い出となった」という声が、三重県で受け入れた学校からは「素晴らしい交流ができ、よい学びの機会になった」という声があったという。これは、万博が目指す「多様で心豊かな生き方」を体現する姿でもあり、万博後も継続可能な文化交流プログラムとして発展させることを期待したい。
万博期間中には、県内ブラジル人学校の学生たちを万博会場へ招待し、ブラジル館および三重県ブースへの訪問や説明・質問を通じて万博関係者との交流を図る予定だ。万博閉会後も、県内ブラジル人学校を県万博担当者が訪問して日本国際博覧会協会の協力を得て、万博に関する講演会を計画しているという。
さまざまな国について、さらに知りたいと思ったら万博へ!
ここで紹介した以外にも、「万博国際交流プログラム」を活用して、中南米を含むさまざまな国との国際交流を実施した自治体は多数あり、各地でさまざまなイベントが行われた。「大阪・関西万博」は、2025年4月13日(日)〜10月13日(祝)の184日間で開催される。各国の多様な文化に興味を持ったならぜひ万博に足を運んで、さらなる理解を深めてみてはいかがだろうか?
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