貯金をするために捨てたもの(5)収納
収納とは具体的にラックやタンス、本棚などです。収納を捨てるべき理由としては、収納があると物が増えるからです。物があるから収納が必要なのではと感じるかもしれませんが、完全に逆で、収納があるから物が増えます。
人間は不思議なもので、収納スペースがあると物で埋めたくなります。新しく本棚を買ったらどうなるかイメージしてください。おそらく本棚の中で場所が結構空いていて、新しく本を入れる余裕があると思います。すき間が空いていると寂しい感じもしますし、難しそうな本や純文学が本棚に並んでいるとカッコいい雰囲気も出るので、そこまで読みたいわけではない本も買ってしまいがちです。
でも当然ですが、本に限らず収納を埋めるために物を買えば、それだけお金はかかってきます。またスペースを埋めるために買った物は、基本的に必要のない物ですから無駄遣い以外の何物でもありません。一方で、そもそも収納を捨ててしまえば物理的に物が入らないので、本当に必要な物以外は買わなくなります。
先ほどの本の例で言うと、大きな本棚があると興味がない本までどんどん買ってしまい、読まない本も支出も増えていきます。対してそもそも本棚がなければ本当に読みたい本だけを電子書籍で買う判断ができるので、スペースも取らず支出も減るでしょう。つまり収納を減らすことで余計な買い物がなくなって支出も減るので、自然と貯金ができるようになります。
収納スペースが少なくなれば、物を減らさざるを得なくなります。物が減るということは家賃の高い広い部屋もいらなくなるので、支出を抑えることも可能になります。人間が生きる上で必要な物は、実はそんなに多くありません。物を減らすためには収納も同時に減らすことが効果的なので、貯金のためにも収納を捨てるのがおすすめです。
貯金をするために捨てたもの(6)維持コストがかかる物
これは毎月お金がかかってくる物全般のイメージで、例えば自動車、スマホ、Netflixなどのサブスク、ウォーターサーバー、保険などです。この類のものは趣味や生活スタイルに左右される側面も大きいので、一概に何がダメと言うつもりはありません。ただ、間違いなく言えるのは、維持費がかかる物は捨てたり、見直したりする方が明らかに貯金しやすくなるということです。理由は、シンプルに持っているだけでお金が出ていくからです。
例えば、車を例に挙げてみます。当然ですが、車は買って終わりではありません。購入費用に加えて駐車場代、税金、車検代、ガソリン代、メンテナンス費(オイル費)などが定期的にかかります。地域や車種によって維持費に差はありますが、車1台を所有すると年間30〜50万円は維持費がかかってくるでしょう。もちろん住んでいる場所によっては「車がないと生活が厳しい」などの都合はあると思います。ただ、事実として車を手放せば数十万円単位のお金が浮くわけですから、手放した方が貯金はしやすくなります。
車だけではなくサブスクや保険も同じです。毎月自動的にお金が引き落とされていくものに関しては、自分では気づかないうちにお金が吸い取られていきます。定期的に見直しをして、いらないと思ったらどんどん捨てることが、貯金する上では非常に大事です。
実際、僕は維持費がかかるものに関してはこれまでたくさん捨ててきました。車も手放しましたし、サブスクもかなり絞りました。なぜか新卒のころに入ってしまっていた保険も解約しました。もっと細かいもので言うと、パーマや毎日のコンタクトもやめました。結果的に毎月の固定費がかなり減って、どんどん貯金できるようになりました。買い切りのものは一度買えば、それ以上お金はかかりませんが、維持費がかかるものは家計に対して継続的にジワジワと影響を与えます。買う前はもちろんですが、買った後も本当に自分にとって価値があるのかをよく考えて、時には思い切って捨てるのが大事だと思います。
貯金をするために捨てたもの(7)世間の普通や常識
これは物ではなくて概念や考え方ですが、すごく大事なことだと思うので読んでください。ここで言う普通や常識とは、世の中で言われていること全般のイメージです。「マイホームを持つのが普通」「大人の男はいい時計を持つのが普通」などから、「若いうちは貯金しなくていい」「社会人は週に5日働くのが普通」などいうものまで、ありとあらゆる固定観念的な考えです。
なぜ普通や常識を捨てるべきかというと、それに疑問を持たずに過ごすと貧乏になる可能性が高いからです。おそらく多くの人が普通や常識に無意識的に従っていると思いますが、その結果どうなっているかというと、多くの人が貯金できていません。
実際にデータもあって、一人暮らしの人の過半数が貯金100万円以下です。これも少し考えれば当然で、家を買うのは普通、新車が普通などといった考えに縛られていると、当然お金はめちゃくちゃかかります。また日本は先進国で唯一、ここ30年間給料が上がっていないので、普通に週に5日働いて2日休む感じだと基本的に収入も満足に増えていかないはずです。
つまり普通に生きようとすると貯金できず、貧乏になる可能性が高いので、僕は世間の普通や常識に疑問を持ってすべて捨てることにしました。具体的には、30歳近くなったのに車も時計も持っていませんし、家賃の安い部屋に住んでいます。「若いうちは貯金しなくていい」という通説は完全に無視して、貯金もふるさと納税もNISAもやっています。また、社会人は週に2日休むという常識にも疑問を持ったので、土日も関係なく動画を作ったり自主的に勉強したりすることにしました。結果的に支出が減って収入も増えているので、どんどん貯金も加速しています。
もちろん僕の場合だと、少しやりすぎな部分はあるかと思いますが、普通や常識を疑うことは、やはりすごく大事だと思います。そもそも世間の普通や常識というのは、誰が決めたかのか分からない概念ですよね。また、貯金ができる人は少数派のわけですから、貯金したいと思ったら行動・考え方も少数派にならないといけない。つまり普通じゃダメなんです。なので、貯金したいと思う方は、よく言われる世間の普通や常識を一度疑ってみて、少しでも疑問を感じたらスパッと捨ててしまうのがおすすめです。
本当に捨て去るべきは「捨てるのがもったいないという思考」
今回は、捨てることで貯金が増えるものを紹介しましたが、最後に僕が言いたいこととして「最優先で捨てるべきもの」をお伝えします。それは「捨てるのがもったいないという思考」です。つまり捨てる勇気を持ちましょう。
自分が稼いだお金でせっかく買ったものを捨てるのは、すごく勇気がいると思います。でも何かを得たいと思ったら何かを捨てる必要がありますし、捨てることでさまざまな気づきがあったり、自分の価値観が洗練されたりしていくものです。
僕の場合だと今回紹介した7つのものを捨てたおかげで、貯金という大きなリターンを得られました。使ったお金が無駄になる意味で捨てるのに多少の痛みはありましたが、捨てる過程で物が減って自分自身の心も身軽になれたので、捨てて本当に良かったと思っています。貯金を頑張りたいと思う方は、まずは「もったいないという気持ち」を捨てて、不要なものをどんどん手放していきましょう。いらない物を捨てれば貯金が増えて心にも余裕が出るはずです。
取材・文=斉藤育世(エディターズ・キャンプ)