いまだに「節約=我慢」と考えている人に伝えたい、ストレスゼロの実践法とは/FIRE達成3児の父が語る節約と投資

2022年7月22日

こんにちは。40代前半、3児の父にして2021年にFIREを達成した、みもじ( @mimojinojinsei )と申します。私は、貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し資産形成に専念しました。過去に働き過ぎて体と心を壊した経験から、自分の人生を見つめ直しFIREを決断。現在は資産形成のコツや自己の人生観について、Twitterを中心に情報を発信中です。

FIREを達成した3児の父が語る節約と投資


ここでは「お金を使わずに幸せな暮らしをする」をテーマに、日常的に大切な節約について、あるいは資産運用と節約の大切さ、FIRE後の生活の楽しさなどをお話ししていきます。お金の不安を取り除き、少しでも多くの方に自分らしい人生を送ってもらうことが目標です。第3回となる今回は、「節約=我慢」ではない、ということをお伝えします。

みもじ流ストレスゼロの節約マインド「節約とは無駄を捨てるだけ」

連載の第1・2回で「資産形成するうえで、まず大切なのが節約だ」と伝えてきましたが、節約というと「我慢」「忍耐」という言葉が浮かび、節約に躊躇する人も多いかもしれません。

また、「節約=我慢」というイメージを強く持ってしまっているために、節約はストレスがたまるものと考えている方も多いと思います。そんな方は、自分の価値観を見つめ直してください。

節約とは「無駄を捨てるだけ」なんです。必要なものは削らず、我慢する必要のない「無駄」の部分を節約するようにすれば、ストレスはゼロになります。

では、ストレスなく節約できる方法のポイントである「無駄」の部分はどのように見つけるのがいいでしょうか。以前からお伝えしていますが、私は、使うお金を「消費」「浪費」「投資」の3つに区分しています。そのうち、「浪費」にあたる部分を減らしていくのが節約のコツです。

「浪費」は生きていく上で必要としない、無駄遣いのお金のことです。例えばたいして使わないもの(セールにつられて勢いで買ったものなど)、利用していないサブスク、ATMの手数料などがそれに当たります。節約がストレスになるどころか、浪費を削らずに放置する方がストレスを感じるべきだと思っています。

なお浪費を削る際も、慣れるまで最初は簡単なものから始めていくといいでしょう。例えば、ほとんど利用していないサブスクなどです。一度解約の手続きさえとってしまえば、永久に節約することができるのでおすすめです。

ところで、浪費はどこから生まれてくるのでしょうか。私の周りの人やフォロワーさんを見ていると、「無駄を生むマインド」が大きな影響を与えていると感じます。そのワースト3を挙げてみます。

1…物欲
他人よりも「高級な物が欲しい」「新しい物が欲しい」という気持ちがあると、いつまでもお金は増えません。なぜなら、次々と高級で新しい物が販売され続けるからです。

2…見栄
節約しているところを見られるのは恥ずかしい、という気持ちを持っていると行動に移せません。節約していない人なんて、生まれつきの大金持ちくらいしかいないものです。誰だって割引やセールの言葉に反応します。世の大半の人が節約をしていると思えば、見栄にがんじがらめにされることもなくなります。なかなかお金が増えないと思っている人ほど、「見栄」を買っているものです。

3…習慣
例えば「浪費」が習慣になってしまうと、そもそも浪費していることに気づきません。また、一度習慣化したことは止めるのにとても労力を使います。好ましくない習慣は、できれば持たないのが一番です。

みなさんにも心当たりがあるのではないでしょうか。また、自分自身の体験から「捨ててよかったと思う 無駄を生む行動ワースト3」も挙げてみます。それは「形骸化した外食習慣」「セールにつられて買い物する癖」「帰り際のコンビニなどでの買い物習慣」です。

例えば外食については、毎週末の習慣になっていたころがありました。するといつしか、食べたいものがないのに「外食しなければいけない」という気持ちになって外食に出かけていたんです。目的と手段が入れ替わってしまったんですね。それに気づいてからは、本当に食べたいものだけを外食するようになりました。

ほかにも、買い物については「買い物リスト」を事前に作っておくことで、不必要な物を買うことがなくなりました。コンビニも素通りするようになり、支出も摂取カロリーも減ってよかったと思っています。

このように、支出の項目を細かく見直してみれば無駄なものはたくさん見つかります。無駄なものを捨てるのは、パソコンでデスクトップのごみ箱に不要なものをどんどん捨てて整理するのと同様で、ストレスはかからないはずなんです。

最後に、もしみなさんが「節約でストレスを感じ始めた」としたら、もしかすると「投資」と認識している部分を節約しようとしているのかもしれません。

「投資」とは、将来、自分に返ってくるお金、リターンを見込めるもの。例えば資産運用に充てるお金だけでなく、自己投資に必要なお金(書籍・旅行など人の価値観によって変わってくる)も含んでいます。

「投資」と認識している部分を節約しているかも、と思った時は、お金の区分をもう一度考え直すとよいでしょう。そのためには自分の価値観をはっきりさせることが大事です。これは後ほど「節約が苦しいと感じた時の対処法」でも説明します。

ストレスなく節約できると、継続することができるようになります。継続できるとお金が減りにくくなり、資産が増えるようになっていきます。成果が感じられるとモチベーションアップにつながり、いいスパイラルに入ります。

費用対効果が低い節約法をやめるとストレスが減らせる

ストレスゼロの節約をする上で考えなければいけないものに「費用対効果が低い節約」というものがあります。これは、自分の行動に対して効果があまり得られない節約のことです。

例えば、電気代を節約しようとしてこまめに電化製品のスイッチをオフにすることを心がけたとします。しかし、今の家電は消費電力が抑えられているものがほとんどなので、思っているほどの節約効果が感じられません。このような「費用対効果が低い節約」は、効果が少ないうえにしっかりストレスだけは感じてしまうので、優先順位を低くすべきです。

我が家で取り入れた方法ですが、電気代を節約したいのであれば契約会社を検討する方が「費用対効果が高い節約」になります。契約会社の変更手続きをおこなうだけで効果が得られるからです。電化製品のスイッチオフよりも労力をかけずに節約できます。

また、時間の使い方による効果的な節約法もあります。

お金を無駄にするということは、結果的にそのお金を稼ぐために捧げた「労働の時間」も無駄にすることにつながります。時間はお金よりも貴重です。お金は失っても取り戻すことができますが、失った時間は取り戻せません。

「時間の無駄」という言葉もありますが、その観点からいくと、「探し物を探す時間」や「不要なものを捨てる時間」も無駄です。

無駄な時間をなくする努力としては、やはり「不必要なものは持たない・買わない」ということがベストだと思います。誰でも無駄なものを買った経験はあると思います。その失敗を繰り返さないよう、次に生かすことが大事です。

この「不必要なものは持たない・買わない」ことが、時間、ひいてはお金の節約につながります。次に詳しくご紹介します。

電気をこまめに消してもそれほどの節約効果は得られず、ストレスがたまるだけ


「必要以上に物を増やさない」「タダの物はもらわない」が鉄則

物を減らすことは節約生活にも通じます。なぜかというと、物が増えると管理が難しくなるからです。

家にはないと思って新しく買ったものの、しばらくして「同じものが出てきた」という経験はあるのではないでしょうか?物が増えると在庫管理が難しくなり、用途として重複している物を買ってしまうことはよくあることです。

次に、保管する場所が必要になります。物があればあるほど、広い部屋に住む必要があります。その分の家賃などの住居費が高くなってしまいます。持ち物がコンパクトだとその分の支出を抑えられます。

特に気を付けたいのが「うかつに増やすとまずいもの」。これはタダでもらえる物です。もらったはいいけれど、なかなか使わずに保管してある経験はないでしょうか?それはそのうち部屋の隅の方に追いやられ、誰からも忘れられます。そういった物が増えていくと、やがて物の管理が難しくなり、節約生活から遠のいていくことになります。我が家ではタダの物ほどもらわないように気を付けています。

それでは、物を増やさないためにはどうすればいいでしょうか。私が心がけているコツをお伝えします。

1…他人と比べず、自分の価値観を大事にする
「友人が持っているから自分も欲しい」という発想は物を買うときの理由にはならないと思っています。「他人が持っているから自分も持つべき」という考え方は、自分の価値観がぶれている証拠です。本当に必要かどうかは自分の価値観で決めるべきです。

2…買うときに捨てることを想像する
人間の行動として、買うことは簡単でも捨てることは面倒なことが多いです。捨てる際のゴミの分別も面倒ですし、断捨離作業中に捨てるかどうか迷うこと自体、その時間も無駄なことだと思っています。ですから、買うときには捨てることまでを考えるようにしています。すると無駄な買い物が一気に減っていきます。人間は面倒なことが嫌いですから。

3…部屋はいつも整頓しておく癖をつける
整頓癖をつけて部屋をいつもシンプルな状態にしておくといいです。整頓されていると物の管理がしやすいからです。逆に、物が増えると整頓がしにくくなっていきます。整頓癖がついていると、そのような状態を避けるために自然と物を減らすようになっていきます。

4…こまめに捨てる習慣をつける
生活していて不必要そうな物を見つけたら家族に確認をして、不要物であればすぐ捨てるようにしています。

5…買い物に出かける前には「買い物リスト」を作る
リストに書いてある物以外は、セールなどの言葉につられて買わないようにします。そうすることで不必要な物が増えることを防ぐことができます。

物を増やさないだけでも、節約のストレスはだいぶ軽くなるはずです。

それでも節約が苦しいと感じた時の対処法

ここでいう節約が苦しい(節約苦)というのは、きちんと「浪費」だと思っていたものを削っているのに、苦しいと感じてしまう状態です。本来、浪費を削るのにストレスは感じないとお伝えしてきました。それなのにストレスを感じるならば、「浪費」と考えていたものが実は違う可能性が考えられます。

例えば、私は毎晩飲んでいたお酒をやめようとしたことがありました。しかし、結局禁酒自体をやめました。「飲みたい」を我慢している状態になってしまったからです。

私は過去の経験から、「~したい」という気持ちを抑制することは、「我慢ストレス」を積み上げることにつながり、節約することが苦しくなると感じていました。つまり、禁酒して節約することは長続きしないということです。

そこでどう考えたか。お酒は一見浪費に見えますが、飲むことは気分転換にもなります。私にとってお酒は浪費ではなく、精神的な面で自己投資にあたるものだったと納得したんです(その分ダラダラと飲むことをやめて、節度を持って飲むようにしていますが)。

このように、節約苦の原因として、本来削ってはいけない部分を削っている可能性が考えられます。それでは具体的にどう対処すればいいのでしょうか。これはまず、自分にとって優先順位の低い物(あまり満足感を得られない部分)から節約していくのがいいと思います。

例えば、おしゃれが好きで服や装飾品にお金をかけたい人は、ほかの部分を節約するのがおすすめです。 服などにはしっかりお金をかけつつ、毎日コンビニや自販機などで飲料水を買うことをやめてマイボトルを持参する、 惰性で読んでいる雑誌を我慢する、 一駅分歩いて電車代を安くする、などです。

自分の好きなモノや趣味に関しては妥協する必要はありません。 一度きりの人生ですから、好きなことにお金を使うことは大切でしょう。 その代わりに、自分があまり満足感を得られない部分について節約をしていけば、ストレスを感じにくくなります。

また、一度に全部節約しようとすると、継続できなかった時にリバウンドが大きくなります。節約の対象は1つずつ増やしていくようにする方がいいでしょう。

先述しましたが、私のように苦しいと感じたら潔くその節約をやめることも大事だと思います。その節約項目は「浪費」ではない可能性があるからです。その時は、節約しようと思っているものがお金の区分「消費」「浪費」「投資」のどれにあたるかを考え直す必要があるでしょう。また、時が経てば価値観も変わるので、前は無理だった節約が後からできるようになることもあると思います。

いずれにしても、今の自分にとって必要がない(価値がない)支出は何かを常に考え、判断する癖をつけておけば、ストレスゼロの節約は難しいことではありません。

取材・文=澤田佳代

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