こんにちは。40代前半、3児の父にして2021年にFIREを達成した、みもじ(
@mimojinojinsei
)と申します。私は、貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し資産形成に専念しました。過去に働き過ぎて体と心を壊した経験から、自分の人生を見つめ直しFIREを決断。現在は資産形成のコツや自己の人生観について、Twitterを中心に情報を発信中です。
ここでは「お金を使わずに幸せな暮らしをする」をテーマに、日常的に大切な節約について、あるいは資産運用と節約の大切さ、FIRE後の生活の楽しさなどをお話していきます。9回目となる今回は、FIRE達成前・達成後に大切なことを、心構えや運用方法など具体的にお伝えします。
FIREの計画を立ててみよう
改めて、FIREとは「Financiai Independence Retire Early」の略で、経済的自立を達成して早期退職をすることです。退職後は生活に必要な支出を投資の運用益などの不労所得で補い生計を立てていきます。アメリカから始まったムーブメントですが、日本でも注目を集めています。
私は昨年FIREを達成しましたが、そのための計画というと…。初めは「資産形成」とまでは考えておらず、ただひたすら浪費を削って貯金に充てていただけでした。結婚当初は貯金がゼロだったのですが、将来のことを考えるとライフイベントと共にお金が必要だということが分かったので、コツコツ積み上げていったんです。貯金生活から数年が経ったころ、本やブログを読むと自分にも投資ができるということを知り、投資生活を始めました。
私は必要以上にのめり込む性格で、働き過ぎて体と心を壊したことがありました。そういった経験から生き方を見つめ直していた時期に、本を読んで「FIRE」という生き方があることを知ります。その時はすでにそれなりの資産があったので、「私にもできるかもしれない」と思い、FIREまでの目標金額を決めて本格的に目指すことにしました。
コロナショックで資産が減ったこともありましたが、暴落はチャンスという認識があったので投資を継続。回復後は、それまでより資産が増え、FIRE目標額を達成することができたんです。資産形成開始から15年以上の月日が経っていました。
ここで私の経験から、計画を立てるにあたり最初にやっておきたい4カ条をご紹介します。参考にしてみてください。
1…まず、家族で目標を話し合う
人生の方向性を決めるわけですから、家族で話し合うことはとても大切です。なぜFIREを目指すのか?いつまでに達成したいのか?どういった資産形成をしていくのか?まずはこのあたりを決めておけば、途中でギクシャクすることなく継続していけると思います。独りよがりの計画は避けましょう。
2…焦らず無理のない、長続きする計画を立てる
スタートからゴールまでは長い道のりとなります。資産形成は続けていくことが一番大事です。途中で息切れすることがないような「無理のない計画」を立てることが重要です。
3…自分の価値観(人生)を大切にして、お金を使うところと使わないところを明確に
ゴールまでの資産形成中も大切な人生です。支出を抑えることは資産を増やす上でとても効率的ですが、支出を制限してばかりというのは自己投資という観点からはあまりよいものではありません。お金を使う分野と使わない分野を明確にして、資産形成中も人間として成長していけるような計画を立てましょう。
4…ライフマネープランシートを作り、収入・支出・ライフイベント・資産額を把握する
収入・支出・ライフイベント・資産額、それぞれの項目を年ごとに把握する必要があります。人生100年時代と言われていますから、今成人している人であれば100歳までのプランを作っておけば問題ないと思います。
FIREを達成するための計画を立てるのは、早ければ早い方がよいでしょう。FIREを目指すなら、この文章を読んでいるまさに「今」です。
理由は、よほどの収入がない限り、FIREをするための資産形成には時間が必要となるからです。コツコツと資産形成を行い、10年から20年かけてFIREを達成することが多いのです。節約も資産形成のための大事な行動の一つだと思っています。わずかに節約をするだけでも少しずつFIREに近づいていきます。計画も節約も早いうちから始めていきましょう。
FIREを目指すためにするべきこと/してはいけないこと
さらに、FIREを達成するための心構えや、達成するまでやり続けなければならないことをお伝えします。
・自分の価値観を大切にする
本気でFIREを目指している人は少数派だと思います。自分の人生の価値観が、ほかの人とは違うことに気づくはずです。そこで、ブレない自分の価値観が重要になってきます。何のためにFIREを目指すのか?自分の中で明確にしておきましょう。
・浪費を「すべて」投資へ
お金を使用する区分を、「消費・浪費・投資」に区分します。消費は生きていく上で必要となるお金のことで、この部分は変えることができません。変えることができるのは浪費の部分です。少しの工夫で浮かすことのできるお金や、無駄に支払っているお金の部分は「すべて」投資に回します。キーポイントはこの「すべて」です。少しでも投資の運用額を多くした方が資産形成には有利なので、どんどん浪費から投資への流れを作っていきましょう。
・臨時収入はそのまま投資へ
時には給料以外から臨時収入が入ることがあると思いますが、ほとんどの人はそのまま使ってしまいます。FIREを目指すなら臨時収入は資産増加へのチャンスなので、投資へそのまま回すのが最適解です。このような考え方を持っておくと資産が増えやすくなります。できれば、ボーナスもそのまま投資に回しましょう。
・習慣化する
資産管理、投資、節約、知識の吸収など、資産形成をしていく上でやらなければいけないことはたくさんあります。それらは短期で終わるのではなく、継続的でなければなりません。しかも、FIRE後も行う必要のあるものがほとんどです。ですから、歯磨きをすることが当たり前であるように、やらなければいけないことは習慣化しなければなりません。
・モチベーションを維持する
資産形成の道のりがとても長いので、途中でモチベーションがダウンしてしまわないように工夫する必要があります。例えば定期的にFIRE関連の書籍を読むとか、ゴールまでのパーセンテージを数値で見える化しておくなどがよいと思います。
・志が同じ人を見つける
1人で黙々とFIREを目指すのもよいですが、やはり仲間がいる方が心強いものです。同じ価値観の人とはSNSなどでつながることができるので、積極的に交流していきましょう。そうすることで、知らなかった知識を得ることもできるでしょう。
また反対に、FIRE達成するために「してはいけないこと」もあります。
・収入が増えた分、支出を増やす
これは絶対にしてはいけません。周りにはお金を派手に使っている人もいるかと思います。隣の芝生は青く見えるものですし、うらやましく感じることもあるかと思います。そういった時に、節約して浮いたお金や資産運用で増えたお金を支出に回してしまうと、FIREまでのゴールが遠のいていきます。支出を増やすために資産形成しているわけではないので、気をつけましょう。そのような時こそ、先ほど述べた「自分の価値観」を大事にしてほしいです。
・無理だとあきらめる
取り組んでいく中で、計画通りいかなくて悩むこともあるかと思います。でも、いいんです。それが普通だと思いますし、乗り越えた先に道が開けます。途中で無理だと決めつけずに、あらゆる方法を探しながら進んでいきましょう。
そして、してはいけないことでありながら、FIREを目指す人が一番やりがちな、あるいは陥りがちなことがあります。「楽して儲けようとする」ことです。
誰でも楽してFIREしたいものです。ですが、そんなことは現実的ではありません。近道して儲けようとすると痛いしっぺ返しをくらいます。「絶対儲かる」などのフレーズは、その裏で本当に儲かっているのが誰かを考えましょう。やはり、急がば回れが一番近道です。
FIREは最終目的ではない。リタイア後の生き方こそ大事
さらに、FIREを目指している人は「達成後にどのように生きるのか」ということも考えておきましょう。私が大事にしていることをお話しします。
・時間を大切に使う
労働から解放されるので、時間は自由に使うことができます。起きる時間、寝る時間、ご飯を食べる時間、お風呂に入る時間など。一見自由そうに思えますが、自由には責任がつきまといます。ただ、ダラダラと過ごし続けているのでは、時間がもったいないですし、人間としての成長も期待できません。いかに有意義に時間を使うかが大切になっていきます。
・大事な人のために生きる
働いていると、どうしても仕事を第一優先にしなければならない時があります。私の場合はほとんどそうでした。最も大切な、家族との時間を犠牲にばかりしていたんです。同じような環境の人も多いかと思います。リタイア後はそのようなことがなくなりますので、大事な人のために生きてほしいです。
・幸福度が上がる生き方をする。労働からの解放=幸せになる、わけではない
FIREしたら確実に幸せになれるかというと、そうでもありません。人間は何かしら不安がありますし、心配事だって尽きないからです。そこで大事なのは「自分は何に幸せを感じるか」を知っておくこと。それだけでも幸福度は上がります。そして、自分にとって「幸せを感じる方法」はどんなことかを知っておくことが大事です。
・社会貢献を意識する
話はやや大きくなりますが、人間は支え合って生きていく生き物です。今まで一度も人に支えられずに生きてきた人間なんていないでしょう。そこで、「社会のために何ができるか?何をすべきか?」を真剣に考えて過ごすと、人生に深みが出てくると思います。また、社会貢献をしていくことで幸福度も増していきます。
なぜ、「リタイア後の生き方こそ大事」と言うのか。それは、FIREはゴールであると同時にスタートでもあるからです。人生の第2章の始まりです。十分な時間が確保できるので、第1章ではできなかったことにも挑戦することができます。目標がない人生は楽しくありませんし、挑戦し続ける人生はとても有意義だと思います。どんな目標を持って、何に挑戦しようか?考えるだけでワクワクしてきます。
FIREを最終目的にしてしまうと、達成後も時間があるのに「やることがない」という状態に陥ります。FIREすることで変わるのは、拘束される時間が大幅に減るということです。それは、使える時間が増えるということにつながります。FIREを達成したらやることがない、と思ってしまうような状態は避けてください。
FIREは生き方の1つに過ぎません。最終目的ではないということに留意し、人生の真の目的を考えましょう。
私は、以前はストレスに囲まれているような生き方でした。今は、ほとんどのストレスから無縁な状態なので、理想通りの生活を送れていると思います。自分がやるべきことが見え、それに向かって進んでいます。もちろんストレスフリーな状態です。
不労所得≧生活費をどうやって実現するか
FIRE達成後の生活費の捻出は、大きな課題です。当たり前ですが、リタイアしているため、不労所得が生活費と同じかそれ以上の額が必要です。
必要な生活費はどのように計算し、必要な生活費を得るためにはどれくらいの金額を、どこに運用したらよいか、具体的な算出方法をお伝えします。
まず、生活費は固定費、変動費に区分して月ごとおよび年ごとにかかる費用を算出しましょう。固定費とは住居費、通信費、保険、教育費、ローンなど。変動費とは食費、被服費、医療費、旅行代、冠婚葬祭費などです。
月によって額が変わるような項目は年間で算出するとよいです。生涯の支出を把握するためには、ライフマネープランシートを作り、ライフイベントに応じた支出額を算出します。
運用例として、月に20万円分の生活費をインデックス投資だけで準備するとします。月に20万円ということは年間240万円が必要になります。インデックス投資の年間運用益を4%と仮定した場合、6000万円を運用することができれば、生活費240万円分を準備することができます(ここでは税金や運用コストなどは省略します)。
不労所得の手段はいくつかありますが、おすすめの運用法をメリット、デメリットを含めてまとめてみます。
・投資信託への投資
メリット=リターンが期待できる。複利の効果が期待できる(ファンドにより異なる)。小額から投資ができる(金融会社により異なる)
デメリット=投資なのでリスクが伴う
・配当金のある株式への投資
メリット=定期的に配当金を得られる
デメリット=投資なのでリスクが伴う
それでも、不労所得だけで本当に生活できるのか心配だと思います。不労所得に加えて、貯金もある程度用意しておくべきなのでしょうか。
不労所得を株式の投資信託などで確保している場合、経済が低調だと期待している運用益に達しないことがあります。そういった場合を想定してお金(貯金)を用意しておくと、運用資産を切り崩すことなく生活費に充てることができます。やがて経済が好調になり期待している運用益以上になったときに、切り崩した分の貯金を補填するという方法です。
貯金額をどれくらい用意しておくとよいかは一概には言えません。運用額が多ければ多いほどリターンを望むことができますが、貯金額の比率を高めると運用額が少なくなるからです。そもそも運用額がかなり多かったり、不労所得を複数持っていてリスク分散していたりすれば、貯金額は少なくても大丈夫だと思います。
取材・文=澤田佳代