こんにちは。40代前半、3児の父にして2021年にFIREを達成した、みもじ(
@mimojinojinsei
)と申します。私は、貯金ゼロの浪費家から節約家へと転身し資産形成に専念しました。過去に働き過ぎて体と心を壊した経験から、自分の人生を見つめ直しFIREを決断。現在は資産形成のコツや自己の人生観について、Twitterを中心に情報を発信中です。
ここでは「お金を使わずに幸せな暮らしをする」をテーマに、日常的に大切な節約について、あるいは資産運用と節約の大切さ、FIRE後の生活の楽しさなどをお話していきます。最終回となる今回は、お金がかからない具体的な子育ての方法や、育て方で教育費が削減できることなどをお伝えします。
お金がかからない子育ての方法とは
子育てにお金をかけることで満足してしまい、本当はとても大切である「子供と対話すること」をしていない家族を複数見ていて思いました。子供にかけるべきものは何か?本当に必要なものは愛情であって、お金ではないですよね。
とはいえ、すべてにおいて支出を抑えるというわけではありません。子供がやりたいと思う所には、親は存分に支援してもいいと思っています。大切なことは「親の自己満足で子育てを終わらせないこと」です。
子供が幼児期のころには、私も知育教材などにお金をかけたことがあります。しかし本人が興味を持たなかったので、我が家の場合はあまり効果がなかったようです。この経験から、子供の興味関心がないものを親がよかれと思って勧めても意味がないことに気づきました。
子供は興味があったり必要性を感じたりすると猛烈に取り組みます。それまで待つ方がよいこともあるとわかりました。そんな経緯も踏まえ、我が家がどのようにしてお金をかけない子育ての工夫をしているのかを、項目別に挙げてみます。
・教育費…習慣付けを意識
小さいころから読書習慣を、小学生になってからは勉強習慣を身につけさせました。習慣化することで勉強に対して抵抗がなく、成長してからも自ら取り組むようになったので、「勉強させるために塾に行かせる」という必要がありません。
また、勉強はある程度のことなら親が教えられます。勉強を見てあげると子供とコミュニケーションが取れますし、教えることで親の脳も活性化するので一石二鳥です。
・レジャー費…旅行は閑散期に、ゼロ円レジャーもフル活用
子供が増えて家族が多くなると、レジャーや旅行にかかる費用はそれだけ膨らみます。そこで我が家では、旅行は閑散期に行くことに決めています。繁忙期から1週間でも時期をずらすだけで驚くほど変わります。
子供が小さいうちはゼロ円レジャーでも充分楽しめます。遊園地などの有料施設を利用しなくても、自然豊かな公園や山に行くだけで子供にとってはよい環境下で過ごせることになります。子供には人工的な環境よりも、自然の環境の方が適していたりしますから。
ちなみに、以前子供を動物園に連れて行った際「一番楽しかったのは何?」と聞くと、「シーソー」と言われたことがあります。確かにシーソーはありましたが、せめて動物の名前を言ってほしかったですね(笑)。
・被服費…おさがりを有効活用、勝負服は1シーズンに1着ルール
子供服は成長に伴いすぐにサイズアウトしてしまいます。しかも、大人服顔負けの値段になっているものも少なくありません。ですから、友達や親戚からおさがりを譲り受けていました。ただ、「子供のかわいい時期は今しかないから、おしゃれな服を着せてあげたい」という気持ちもあることは確かです。
そこで、我が家では「勝負服は1シーズンに1着」という基準を設けて服を買っていました。また、おさがりは恥ずかしいと思っている方にアドバイスですが、環境面に配慮していると思えば物を大事に使うことは恥ずかしいことではありませんよ。
・おやつ代…おやつとジュースは最小限に
大人も好きですが、子供はおやつとジュースがもっと好きです。1つ1つはそこまで高くありませんが、ちりも積もれば山となります。どこかに基準を決めないと際限がなくなります。また、お金がかかる割に栄養面は期待できないものが多く、虫歯の原因にもなりやすいです。そこで我が家では、1日に食べてよいおやつの量を摂取カロリーで、食べる回数も1日1回に決めました。この基準を設けることで費用を抑えています。
子供にもマネーリテラシーを教えよう
私は結婚してから本格的にお金の知識を身につけてきたのですが、「もっと早く知りたかった!」という思いが強くあります。早く知っていれば、お金に関して不安に思うことも少なかったでしょうし、もっと楽に資産形成ができていたと思います。子供には「私と同じ道は歩んでほしくない」と思ったこともあり、小さいころからお金の知識を学ばせることが必要だと考えました。
お小遣いの使い方もマネーリテラシーを高めることと考えれば、小学1年生から教え始めるのがよいのではないでしょうか。「毎月●円もらえるから、年間だと●円になる。どれくらいお金を使い、いくら残しておきたいのか?」など、大人になっても基本的にやることは変わりませんし、その思考を習慣化させることが大事です。
マネーリテラシーを高めることにより、計画的にお金を使っていくことができるようになります。また、お金を運用することの必要性やお金を守ることの重要性を理解することで、効率的に資産形成できるようになります。その知識やイメージを社会人になる前に持っておくと、お金に困る可能性は低くなっていきます。
では、どんな内容を教えるとよいでしょうか。年代別で紹介します。
・小学生はお金の使い方
月々のお小遣いを計画的に使うことで、実体験をもとに学んでいきましょう。ここで大事なのは、将来的な見通しを持ってお金を使っていくことです。
・中学生はお金の基礎知識
そもそもお金って何なのか?円安・円高、世界経済との関係などについて、少しずつ知識を身につけていきましょう。
・高校生はお金の増やし方・守り方
投資にはどのような種類があるか?節約とはどのようなものがあるか?税金の基本的な仕組みなどについて知識を深めていきましょう。また、「お金を運用すると実際どうなるのか?」をシミュレーションしながら教えていくとよいでしょう。
子供が大きくなってからも、結婚、出産、家や車の購入などさまざまなライフイベントの際に援助している親は多いと思います。子供のマネーリテラシーが高くて、お金との付き合い方が上手だと、そのような時にお金の援助をする必要がなくなります。
子供にマネーリテラシーを身につけさせることは、「お金がかからない子育て」に直接つながるわけではありません。ただ、「お金に苦労する人生を送ってほしくない」という親の願いは込められていると思います。
親のお金の使い方が子供に伝染する
私自身、お金の使い方が親から伝染していたと感じています。親が浪費家で、私も結婚前は浪費家でした。
過去の私は、お金はあればあるだけ使っていましたし、そのことに疑問も持ちませんでした。そのようなお金の使い方しか知らなかったのです。なぜか?それは浪費家である親のお金の使い方を、知らず知らずのうちに当たり前だと思っていたからです。
対して、私の妻は倹約家です。妻の親は、お金を適切に管理して計画的に使っていたそうで、そのお金の使い方を学んでいたようです。妻も親のお金の使い方に疑問を持つことはありませんでした。
他から知識を得られない環境にあれば、子供のお金に対する考え方は親の考え方をそのまま受け継ぐと思います。「親のお金の使い方が子供に伝染する」。子供にお金に困らない人生を送ってもらいたいので、親がよいお金の使い方を子供に見せることは大切だと思っています。
親のお金の使い方として、よい例と悪い例を挙げてみます。
よい使い方
・先取り貯蓄などお金が貯まるシステムを自分で作っている
・計画的にお金を使えるように管理していて将来を見据えている
・欲に負けず自分に厳しい
悪い使い方
・無計画で、あればあるだけ使ってしまう
・「期間限定」「新商品」「数量限定」などのワードに弱く、何でも欲しくなって買ってしまう
・自分の価値観が確立されていないので、他人が持っているものが欲しくなりついつい買ってしまう
悪い使い方にならないよう普段から気を付けたいのが、「勢いで買い物をしない」こと。もともと欲しいと思っていなかったのに、「勢いや思いつき」でモノを買おうとしているときは、1日経ってから買うように子供にアドバイスしています。売る側は販売のプロです。あの手この手で消費者の購買意欲をかき立ててきます。そこを冷静に判断できるようになると、販売のプロに負けない「消費のプロ」になることができます。
子供の自己肯定感を高めよう
子育てにおいて、子供の自己肯定感を高める大切さも感じています。自己肯定感の高い人は、さまざまなことに挑戦する意欲を持っています。失敗を恐れず挑戦する気持ちがあるので成長が早く、またあきらめずに挑戦することで忍耐力もつきます。さらに、自己肯定感が高まると自信がつき、自分のことが好きになります。そして、自分を大事にします。すると、他人も大事にすることができるようになります。
子供の自己肯定感を高めるために、私はまず子供のことを「よく見る」ようにしています。子供は親に見られていることを認識することによって、自分の存在価値を確認して自信を持つようになると考えているからです。
小さい子供はよく、自分が滑り台などで遊んでいる姿を「見て、見てー!」と親に言ってきますよね。そんな時、親はスマホなどを見ていないで子供をちゃんと見てあげなければいけません。子供は遊んでいる姿を見てもらえると、見守られ愛されていると感じます。やがて、それが自己肯定感を高めることにつながっていくと思っています。
また、私は結果までの過程をよくほめるようにしています。例えば子供がテストでよい点を取ったとしましょう。「テストで100点取ったんだね!すごいね!」ではなく、「テストで100点取ったんだね!テストまで自分で計画的に勉強していたもんね!頑張った成果が出たね!」と。
結果ではなくそれまでの過程に重点を置くようにしてほめると、結果が出るまでの過程が重要だということを認識するようになります。また、努力に見合った結果が出ることで自信にもつながり、これを繰り返し体験することで自己肯定感も高まっていきます。
我が家のある日のできごとです。子供が運動会のリレーの選手になれなくて、泣いて帰ってきたことがありました。本人は相当悔しかったのでしょう。それから1年間、リレーの選手に選ばれることを目標にして親子で頑張りました。走るときのフォーム、スタートの仕方、練習方法などを一緒に学んで取り組みました。
努力の成果が実り、翌年の運動会では見事リレーの選手に選ばれました。本人はとても喜んでいました。もちろん結果もですが、それまでに至った過程をよりたくさんほめました。その経験を積んでから、子供は何事にも挑戦するようになり、失敗しても心の切り替えが上手くなるなど、人として成長を感じられるようになりました。
自己肯定感は数値で測ることはできませんが、子供の成長をよく見ていることでその度合いがわかります。
自己肯定感が高い子供は失敗を恐れず挑戦をするし、たとえ失敗しても立ち直ってまた挑戦するようになります。この正のスパイラルは勉強や運動、趣味にもよい効果をもたらします。そして、自分に自信があると他からの支えがなくても失敗を恐れず難関に挑戦することができるようになります。もし、壁にぶち当たってもそれを克服し、前に進み続けます。まさに無敵状態です。
さらに、自己肯定感が高いと、勉強でも運動でも自然と目標が高くなる傾向にあると思います。しかも、1人で問題を解決する能力が高くなります。
子育てをしていく上で、お金の面で心配なものはやはり、教育費になると思います。自己肯定感が高いと、コツコツと努力することを惜しみませんし、自分で目標を随時高く設定していきます。塾などに頼らなくても自ら勉強するようになり、問題を解決していく能力が身についていきますので、結果的に教育費を最小限に抑えることができるようになるでしょう。
連載は今回が最後になります。これまで節約、投資、FIRE生活、子育てについて私の考え方を紹介してきました。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
取材・文=澤田佳代