辰馬本家酒造(白鹿)
地元民も日常的に嗜む、しぼりたて原酒は必見!
海にほど近い西宮市鞍掛町にある、涼やかな印象を与える白い建物。ここが白鹿の蔵元直営の「白鹿クラシックス」です。ショップとレストランを備えた直営店で、ショップには白鹿自慢の80種ほどの日本酒がズラリ!中には「白鹿クラシックス」でしか買えない西宮郷 大吟醸といった限定商品もあります。
さらに注目なのが、蔵元直送の量り売りの日本酒。しぼりたて原酒、しぼりたて原酒 辛口、樽酒の3種を用意し、価格も720ミリリットル1100円〜とリーズナブル。近隣に暮らす人たちが買いに来ることが多いそうで、たくさんの銘酒がある西宮でも、おいしい日本酒であるというお墨付きになるでしょう。
どんな味わいや香りなのか試してから、購入する商品を決めたい場合は有料試飲をぜひ。純米大吟醸、大吟醸、純米酒、しぼりたて原酒など、10〜12種と種類豊富で、価格も40ミリリットル100円、150円、200円などリーズナブル。
レストランでも白鹿クラシックス限定酒の利き酒セットを用意しているので、十割そばなどと一緒に日本酒を楽しむのもおすすめです。
「白鹿クラシックス」のショップでは、日本酒以外の商品も充実。定番の奈良漬はもちろん、酒粕入りの神戸和牛のすき焼きコロッケ、吟醸酒を隠し味に使った吟醸ビーフカレーなど、酒蔵からはイメージできない商品もあり、お酒が飲めない人へのお土産といった利用も多いそう。これだけいろいろ商品があると、思わず目移りしちゃいそうですね。
360年の歴史を感じるストーリー
次に足を運んだのは隣接する「公益財団法人 白鹿記念酒造博物館(通称 酒ミュージアム)」の酒蔵館。1869(明治2)年建築の辰馬本家酒造の旧本蔵を活用した館内では、昔実際に使われていた大桶や、道具を上げ降ろしするための「あみだ車」など、伝統的な酒造りにまつわる道具を間近で見ることができます。これらの道具、酒米を蒸していた釜場の遺構、そして酒蔵館の建物は、2020(令和2)年度に認定された日本遺産の構成文化財になっています。
館内奥には1995(平成7)年の阪神・淡路大震災によって壊れた酒造道具をそのまま展示した一角もあり、震災の記憶を薄れさせないとともに、震災に見舞われても復興を果たした強い意思を感じられました。
最後に特別に案内してもらったのは、白鹿の宮水の井戸。宮水とは酒造りに理想的な水として知られる西宮の名水で、灘にある酒造メーカーはほぼこの宮水を使って日本酒を醸しています。白鹿では1662(寛文2)年の創業時から、宮水を用いて酒造りを行ってきており、言わばこの井戸から取水する水は酒造りの生命線。敷地内に無断で入れないようにし、定期的に水質のチェックを行うなど、大切に管理されていることがわかります。井戸の場所は時代によって変わってきたものの、360年前から変わらず同じ宮水で酒造りを続けているというから、すごいことです。
江戸時代中期には、“灘の銘酒”として不動の地位を確立し、明治・大正・昭和・平成・令和と多くの銘酒を造り続けている白鹿。これからも酒造りの基本である、米・水・風といった自然と対話しながら酒を育てるというメッセージにも納得の老舗酒造メーカーでした。
●白鹿クラシックス
住所:兵庫県西宮市鞍掛町7-7
電話:0798-35-0286
営業時間:ショップ10:00〜18:00
定休日:火曜
http://classics.hakushika.co.jp/
●酒ミュージアム
住所:兵庫県西宮市鞍掛町8-21
電話:0798-33-0008
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:火曜
https://sake-museum.jp/
取材・文=諫山力(knot)
撮影=東野正吾(PHOTOLAND107)