【SDGs】「社会・環境」だけでは人の心は動かない?マクドナルドの“持続可能な取り組み”

2021年6月30日

「マックでおもちゃリサイクル」は、ハッピーセットのおもちゃを回収し、店内飲食用のトレイにリサイクルするプロジェクト

世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への関心が高まるなか、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、具体的にはどのようなことが行われているのだろうか?今回、ウォーカープラスの新企画「SDGs ウォーカー」では、ハンバーガー・レストラン・チェーンの「日本マクドナルド」広報部マネージャー・石黒友梨さんにインタビューを実施。SDGsに取り組んだ経緯や、具体的な活動内容について聞いた。

SDGsってなに?


SDGsは、国連に加盟する全ての国が、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標。持続可能な世界を実現するため、「貧困」「飢餓」「健康と福祉」などをテーマにした17の目標と169のターゲットで構成。アジェンダでは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。

マクドナルドが取り組む「6つの目標」


――なぜ、SDGsの取り組みを始めたのでしょうか?

【石黒さん】マクドナルドは、SDGsが定められる以前から活動をしています。創業者のレイ・クロックは創業当時から「We Give Back to Our Community」を理念に掲げ、企業は社会的な存在であるとし、「地域にお返しをする」という思いを大切にする文化が当社には根付いています。

――現在、マクドナルドでは6つの目標に特に取り組まれているそうですが、それはどのような目標で、そこからどのようなゴールを目指しているのでしょうか。

【石黒さん】SDGsは、マクドナルドの顧客、従業員、生産者など全てのステークホルダーに関わるとても重要な目標であり、私たちはその目標を達成する責任があると考えています。17の目標のなかで、下記項目を優先的に取り組む目標としています。


<マクドナルドの6つの目標>
【2】飢餓をゼロに
【8】働きがいも 経済成長も
【12】つくる責任 つかう責任
【13】気候変動に具体的な対策を
【15】陸の豊かさも守ろう
【17】パートナーシップで目標を達成しよう

「マックでおもちゃリサイクル」とは?


【石黒さん】さまざまな活動の中の1つの事例として「マックでおもちゃリサイクル」があります。これは、(お子様が遊ばなくなった)ハッピーセットのおもちゃを、全国のマクドナルド店舗で回収しています。

子供たちが遊ばなくなったハッピーセットのおもちゃを回収する「おもちゃリサイクルBOX」を設置


2018年2月下旬から5月初旬までの回収期間で約127万個のおもちゃを回収し、プラスチックのおもちゃ由来の素材10%程度を含む店舗用リサイクルトレイを約10万枚製造しました。また、2019年、2020年は、おもちゃの回収期間をお子さまの長期休暇に合わせて春・夏・冬と計3回へと拡大し、それぞれ約340万個、約270万個のおもちゃを回収。2021年からは、プラスチックのおもちゃ由来の素材10%程度を含む“おもちゃ回収ボックス”を全国の店舗に設置し、通年でおもちゃを回収しています。マクドナルドでは、ハッピーセットを年間約1億食販売している企業の責任として、お客さまの声に耳を傾け、時代に合わせて変わり続けていこうと考えています。

――「マックでおもちゃリサイクル」を実践してどのような反響がありましたか?

【石黒さん】2018年にプロジェクトを開始した際、100万個の回収を目標に実施したところ、実際には目標数を上回る127万個のおもちゃを回収することができました。お客さまからは、“おもちゃを捨てる”のではなく、“また役に立つためにお別れする”ことに「子供も納得した」との声や、本プロジェクトが子供とリサイクルについて話す「良いきっかけとなった」など、数多くの声が寄せられました。

例えば、「楽しく遊んでいたおもちゃだからこそ心が痛む。リサイクルをしてまた何かの役に立つのなら処分してもいいと子供も納得してくれた」や「おもちゃをいただいたマクドナルドのお店にリサイクルに行くことで、物の大切さを教えることができた。娘自身もリサイクルに“参加した”と実感できたようです」といった声をいただいています。

【画像】回収したおもちゃは、店舗で使用するトレイにリサイクル


「社会・環境」だけでは人の心は動かない、その理由とは?


――この取り組みが社内に与えた変化はありますか?

【石黒さん】「非常に良いプロジェクトだ」と、店舗側も非常に精力的に取り組んでくれました。実際に「お客さまから『良い活動をしているね』と声をかけてもらえた」という声も多く聞いております。

また、本プロジェクトを受けて、「将来の子供たちのための活動に積極的に取り組むブランドでありたい」との意識が醸成されたという声や、「このプロジェクトは素晴らしいから継続して実施するべき」といった声も聞いております。

――「マックでおもちゃリサイクル」のプロジェクトに取り組まれて分かったことはありますか?

【石黒さん】昨今、環境意識の高まりから「社会・環境」への貢献に注目が集まっていますが、企業が社会・環境のことだけ訴えても持続可能なプロジェクトにはならず、持続可能なプロジェクトにするためには、企業にとって大切なポイントである「経済性」もきちんとあるということが重要かと思います。

また、参加する方にとっても、「社会・環境」だけでは人の心は動かせず、その背景にある“Story”や“ Fun”の要素が必要で、「社会・環境」「経済」「Fun」の3つが重なり合った取り組みこそ、持続可能な取り組みであるということが分かりました。マクドナルド店舗での経験をきっかけに“環境について考えた経験”が、成長しても大切な価値観として残り、お子さまと未来の地球の共存に繋がっていくことを我々は願っています。