繰り返し使えるストローに込められた思いとは?「SDGsに気付いてもらえれば」

2021年7月29日

パカッと開いて、ササッと洗えて、何度でも使える。捨てずに繰り返し利用できるシリコン製のストロー「SUTENAI(ステナイ) シリコンストロー」は便利なだけでなく、SDGsや脱プラスティックなど持続可能な未来に向けた取り組みに誰でも気軽に参加できるアイテムとして注目を集めている。

その名の通り、捨てずに何度でも使えるSUTENAI シリコンストロー


化学物質を含まないノンプラスチックの環境に優しいシリコンストローを手がけるのは、商品・サービスの企画と販売、貿易事業やコンサルティングを行う株式会社アルデナイデ。SUTENAIシリコンストローのホームページを覗いてみると、プラスチックで汚染され続けている海の映像が流れ、商品説明の前に「『私たちの未来』のために、気軽に出来ることを創る。」というブランドコンセプトが大きな文字で表記されている。2006年に一人で立ち上げ、今や多数のスタッフを引き連れ活躍の場を広げている代表取締役の佐々木顕さんに、環境への意識など話を聞いた。

環境問題は身近じゃない。でも、何かを始るべき

「SUTENAI シリコンストロー、毎日使っているんですよね? エコ意識も高いんですよね?ってよく聞かれるんですよ。正直ねえ、考えたこともないんです。ストローなんかプラスチックの方がラクやんって(笑)」

株式会社アルデナイデ代表取締役の佐々木顕さん


開くことで専用ブラシがなくても清潔さを保てたり、日本初の防塵加工技術でプラスチックストローに慣れた口でも違和感なくくわえられるようにしたりと、捨てずに使えるシリコンストローを手がけているのに?私たちの未来は?どこへ?と戸惑うこちらを尻目に、飄々とした表情で続ける。

「偽善者にはなりたくないんですよ。みんなそんなもんでしょ?ぼんやりと考えなあかんなあって思っていても、身近な問題じゃないんですよね。でも、未来のことを考えたら何か始めないといけない。じゃあ、中小企業であるアルデナイデだからできること、やるべきことをやろうと考えてスタートしたのがSUTENAIだったんですよね」

SUTENAI シリコンストロー MIX990円(3本入り)。ホワイト、イエロー、ブラックなど全13種とカラーバリエーションも豊富。実用新案登録番号3223809


環境への意識を高めるきっかけになれば

佐々木さんはテレビ・音楽業界の裏方として活動した後に独立。イベントの企画や広告の制作など、培った経験とセンスでさまざまなコンテンツを世に広めてきた。海外とのやり取りも多く、アメリカでは着ぐるみを紹介し、KIGU、KIGURUMIという言葉を定着させたことも。

「国内では子会社でコスメの販売も。メーカーでありながら、企画会社、広告代理店でもあるという感じですね。雑貨も取り扱っていて、売れそうな商品ともいっぱい出会ってきて。そんな時、日本向けにシリコンのキッチン商材を作っている中国の工場が再利用できるストローを企画しているという話を聞いて、これだ!と思ったんですよね。開いて閉じるようにしたい、水が漏れないようにしたい、でもできるかはわからないぐらいの段階だったんですけど、これはすごい商品になるなあと」

1年くらいの開発期間中、アルデナイデは日本の消費者の環境意識を徹底的にリサーチしたという。

「日本では環境にいいから買ってみようとはなかなかならないんですね。まず便利であるかどうかが重要で。でも、便利ですよ、環境にもいいですよだけでは、よくある一過性の商品になってしまう。単純な訴え方ではなくて、もっと大切なこと、根底にあるものを伝えていきながら商品の魅力を発信しようと考えたんです。シリコンで何回も使えるんや、考えたら毎回捨てるのはもったいないよなとか。これもSDGsなんやって気付いてもらえるようにね。SDGsって17の目標があって、169もターゲットがあるんですよね? 普通、理解するのもイヤになる(笑)。そんな自分が、消費者が、魅力的な商品に巡り会うには、少しでも環境への意識を高めるためにはどうしたらいいんやろって考えて。ブランドのホームページの意味深な作りもその一環です」

原料がシリコンゴムなので、変形も自在。寝転んだままでも飲みやすく、ぐうたらさんのほか医療現場などでも重宝。用途に合わせてカットできるのもうれしい

洗う時は開いて。洗浄用の専用ブラシなどを使うことなく、清潔に保つことができる。閉じるのもピタッとラクラク


小さな気付きが未来へと繋がる

飾らない人柄、リサーチに裏打ちされた消費者目線で、魅力的な商品を、根底にある大切なことを広めていく。これが中小企業であるアルデナイデだからこそできる、やるべきことだった。

「SDGsってエコじゃないものを否定しているわけではないと思うんですよね。できることをちょっとでもいいからやっていこうという感じ。気付いたことを続けていく、それが増えていくことが持続可能な世界に繋がる。SUTENAIがそのきっかけになればうれしいし、きっかけにならないといけないと思っています」

先日、共感した世界的な企業からノベルティ用に企業ロゴ入りのシリコンストローを作ってほしいとの依頼もあったそう。佐々木さんの思いは着実に広まってきている。

「思い描く未来や結果? そんなたいそうなものはないですね。結果は誰も見ることができないですし、きっかけしか作れないと思っています。個人的には頑張る必要はないと思う。頑張るのはしんどいんで(笑)。気軽にできることを一つ一つ丁寧に。SDGsって環境問題だけじゃないんですよね。雇用や差別、ジェンダーの問題もある。SUTENAI シリコンストローがそんないろんな課題に目がいくきっかけとなるように、今後も企業として伝える努力をしていきたいと考えています。個人的にはもうちょっと頻繁にシリコンストローを使うようにしたいなあと(笑)」

現在は消費者からの要望を受け、子供でも使いやすい細いシリコンストローを中国の工場と開発中。売上げの一部をWWFジャパンを通して寄付もしているので、SDGsや環境問題に興味があっても何をしていいかわからない人には最適だ。持続可能な未来に向けた取り組みに、便利に&気軽に参加してみては?

SUTENAI シリコンストローは2020年1月1日に販売開始。ECサイトや小売店で購入できる


取材・文・撮影=兄弟エレキ

※「SUTENAI シリコンストロー」は、開発元・実用新案権者であるLG CORPORATION Limitedから日本国内での販売許諾を得ている正規品です。

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