昨今、発達障害でもがき苦しむ人々が話題になっている。ではある日突然、自分に「発達障害グレーゾーン」の“特性”があると言われたら?
2015年に国連が定めた17の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みが世界中で活発になる中、「誰ひとり取り残さない」社会を目指して行くうえで、発達障害で苦しむ人々とどう向き合えばよいのだろうか。
そこで今回、発達障害グレーゾーンの特性を持つ漫画家・クロミツさん(@kuromitsu1510)が描くコミックエッセイをフィーチャー。発達障害グレーゾーンをテーマに、「甘え」「怠慢」と疎まれる“生きづらさ”を描いた漫画について話を聞いた。
発達障害に“グレーゾーン”という領域があることを知り困惑…
数年前、仕事関係や人間関係で病んでいて、メンタルクリニックの先生からは「不安障害です」と言われていたと語るクロミツさん。メンタルクリニックに通っていくうちに、ネットなどで発達障害のことを学び、『自分は発達障害なのかも…』という疑念が湧いてきたのだそう。
「というのも、子供のころから他人とのズレを感じていたんです。すると先生が『そういうとこあるかもね』と、検査の後押しをしてくれました」
そして、検査をした結果、自分は発達障害ではなく“発達障害グレーゾーン”の特性があることがわかったのだという。
病気でも怪我でも、検査の結果は白か黒かの2択だと思うもの…。しかし「初めて“グレーゾーン”という領域があることを知って困惑しました」とクロミツさんは述懐した。
社会から「あんたギリギリよ、社会の人材としてスペック低いよ」と言われた気がした
先生に詳しく話を聞くと、発達障害の特性はグラデーション状になっていて、「あなたはここにいます」と説明を受けたクロミツさん。しかし病気への知識もなく、正直「ちょっと何を言っているかわかんないな」と感じ、「気になるから自分でいろいろ調べてみた」とのこと。
どう調べたのかと聞くと、「主にネットの情報を見たのと、書籍を買って読みました。なかでも、ルポライター・姫野桂さんが書かれた『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)を読むと、腑に落ちる部分が多く『自分もあてはまるな~』と納得しました」
書籍を読んで納得できた理由について「書籍の解説と自分の過去の体験を照らし合わせたとき、合致する部分が多かったんです。『仕事でミスが多い』『遅刻や忘れ物が多い』『自己肯定感が低い』この3つがピッタリとあてはまっていました」と教えてくれた。
そして、それを受け入れたとき、「正直、社会から『あんたギリギリよ、社会の人材としてスペック低いよ』と言われたような気がして、つらかったですね」とクロミツさんは語った。
発達障害グレーゾーン”という特性に絶望せず、活路を見出したい
発達障害グレーゾーンを漫画として描き、自分の中で変化もあったという。まず、「自分以外に同じ特性を持った人が多いことに驚いた」というクロミツさん。今まで『おまえだけ何かおかしい』と言われ続けていたが、
『私もずっとそうでした』
『同じ特性があります』
といったコメントをSNSでもらい、共感してもられることに安心したのだそう。それは、発達障害グレーゾーンを描くモチベーションにもなっているという。
「センシティブな話題なので描くかどうか悩みましたが、自分が感じていた“葛藤”や“生きづらさ”を表現したいと思いました。“発達障害グレーゾーン”という特性に絶望するのではなく、どう活路を見出していくかを描いていきたいです」
画像提供:クロミツ(@kuromitsu1510)