環境問題への挑戦!世界初の木のストローを開発した女性社員の願い

2021年9月16日

間伐材で出来た木のストロー。“カンナ削り”により生まれる削り華(木を削った際に出るカンナ屑)をヒントに、名刺や辞令を作成した経験を活かして、世界で初めて開発・量産化に成功した。紙ストローと違ってふやけてしまうこともなく、木の香りを満喫しながら飲み物を堪能できる。SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の目標達成につながり、廃プラ問題を解決するアイテムとして注目を集めている。

木のストローを手掛けるのは、ストローの会社ではなく木造住宅メーカーのアキュラホームだ。アキュラホームといえば、カンナ削りをするカンナ社長のCMが印象的。環境問題に対してど素人ながらも、開発に成功した広報兼SDGs推進室室長を務める西口彩乃さんに、開発した背景やSDGsへの取り組み方を聞いた。

間伐材を活用してG20(国際会議)でも使われた「木のストロー」

――開発した背景を教えてください。

お世話になっている記者の方から「木のストロー作れない?」と相談されたのがきっかけでした。できるところまでやりたい、力になりたいと思い、何か大きなニュースになるのでは…という思いもありました。木造住宅を扱う会社として、木を活かしたことにチャレンジしたかったということもあります。

――「うちはストロー屋ではない」と、猛反対があったと聞きました。開発までの道のりは困難の連続でしたか?

社内では特に反対されました。当たり前だと思います。私は広報という立場。しかも住宅会社がストローを作ることなんて、許されるわけがなく…。しかも、当初は木のストローを作ると言っても物もできていません。できるかもわからない状況でした。

それでも、熱意を伝え理解を示していただき、最終的には社長にも了承をいただきました。ただ、私は環境問題にもモノ作りにも素人で、何もできません。とにかくいろいろな人に電話したり、聞いたり、調べたり、ただ道を歩くだけでも、何かヒントはないかなとキョロキョロしていたと思います。

その後、周りの方がお金にならないのにも関わらず、自分のできる範囲の中で協力していただき、人も紹介してくれました。賛同者が増えていったような感じです。それの積み重ねで、少しずつ木のストローも形になっていきました。社長がいつも代名詞のようにやっていたカンナ削りも開発の大きなヒントになりました。

【写真】カンナ削りから着想を得て作られ、国内外から多くの反響があった

――木のストローの開発に成功し、世間からどのような反響がありましたか?

国内外、多くのメディアが木のストローはこれからの時代、廃プラや森林保全の問題を解決する糸口になるアイテムだと報道いただきました。社内もこの時から、開発した木のストローの力を少しずつ実感するようになります。ちょうどSDGsが社会に浸透し始める時で、それも木のストローの開発をする際には後押しになりました。

数多くの報道を見た方、国や省庁、行政、学校、さまざまなところから問い合わせ、反響をいただき、G20大阪サミットなどでも採用していただきました。

――開発してから困難にぶつかったことや、その中でも工夫したことはありますか?

1社で作ることの限界を感じていました。アキュラホームは住宅会社。ストロー屋ではありません。2019年には、アキュラホームで作らなくても世の中で普及していくモデルを横浜市さんと一緒に作りました。

横浜市の水源林である山梨県の道志村の間伐材を地元の森林組合がスライスし、横浜市内の障害者の方が製造を担い、市内のホテル(横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ)で導入。そして、市民の方に消費していただくことで、それを使った人の環境意識を醸成していくというものです。木のストローの地産地消モデルと呼んでいます。

今では、このモデルを企業でも導入している例もあります。いかに持続可能性を高めるか、これも重要なのです。

4本入りのセットがアキュラホームホームページやAmazon、楽天で販売中。

――SDGsに取り組みたいけど取り組めていない企業の人達が多くいるかと思います。何かアドバイスや伝えたいことがあればお願いします。

みなさんが取り組んでいる活動の中にもSDGsに対する取り組みはすでにあると思います。それらを整理して、その方向性があっているのかを確認したり、少し視点を変えるだけでより良いものになったりするのです。

また、環境に対する取り組みは1人だけだったり、1社でどうすることでもなく、皆で取り組んでいくべきことなのです。事業活動でなかなか繋がることがない、関わるチャンスがない方とも、この環境というテーマではさまざまな方々、企業と連携することができます。それが思わぬビジネスチャンスに結びつくこともあるかと思います。

馴染みのある言葉に変わりつつあるSDGs。実はどの企業も何かしらSDGsに関わることをしているのかもしれない。そして、西口さんが言うように、他の企業を巻き込んでやれば、いろいろなチャンスを得ることができるのだ。

アキュラホームが手掛けた木のストローはアキュラホームのホームページやAmazon、楽天でも購入可能。たくさんの試練を乗り越えて作られた木のストローを、ぜひ試してみてみよう。