高い技術を持つ大阪や関西の製造企業とクリエイターを結び、新たな商品を生み出すことを目指す大阪メトロ主催の事業「Osaka Metro クリエイト」。手掛けるプロジェクトの1つ「廃車再生プロジェクト」は、引退した大阪メトロの車両の一部を再利用して商品を作る取り組みだ。
今回は、地下鉄の廃車部品からバッグを製作した大阪の鞄・袋物製造メーカー、サンワード株式会社の代表取締役 池田さんに、バッグを作ろうと思ったきっかけや、こだわりのポイントなど聞いた。
つり輪と貫通幌を再利用!電車好きだけでなく誰でも持てるデザインに
サンワード株式会社は、廃材やリサイクル素材を使用し、環境に配慮した商品の開発を積極的に行っている企業。今回、地下鉄の廃車からバッグを作ろうと思ったきっかけはなんだったのだろうか。
「Osaka Metro クリエイトの参画依頼があり、プロジェクトに加わったことがきっかけです。もともとアップサイクル事業に取り組むなかで、日常的に目にしているつり革に大変興味があり、それを使ってバッグを手掛けてみたいと思っていました。そのため、すでにデザインを含めた構想もできていました」
なんとデザインまで事前に考えていたという池田さん。その思いが実現し、ショルダーバッグと2WAYトートバッグの2種類を製作。バッグの持ち手にはつり輪、底とつり輪の固定部分には連結した車両間の通路を覆う貫通幌(かんつうほろ)を使用している。
「電車好きの皆さんだけでなく、それ以外の方にも笑顔で持っていただけるデザインにこだわりました」と語る池田さん。色は大阪メトロの路線カラーに合わせた8色展開。日常でも使いやすく、かわいらしいデザインに仕上がっている。随所にちりばめられたアイデアによって、廃車の再利用というよりは、地下鉄がバッグに生まれ変わったという印象だ。
バッグは、廃車部材の解体・洗浄・消毒作業から製作まで、全てサンワード株式会社のスタッフの手で行われている。商品ができあがるまでは、どのくらいの時間がかかったのだろうか。また開発時の苦労についても聞いてみた。
「部材を供給していただいてから、約6カ月で完成形ができあがりました。貫通幌から鉄パイプを取り外すときは、大変な苦労と労力を費やしましたが、それ以外はずっと楽しく商品づくりができました」