環境省は2022年8月18日より、“福島の今”を知り、3.11から復興している状況、残された課題を知るため、全国の若者たちが参加する「『福島、その先の環境へ。』次世代ツアー」を開催。「東日本大震災・原子力災害伝承館」の開館、双葉町の新庁舎建設など、創生を掲げる新しいアクションが次々と生まれている“福島の今”を知るべく、今回の次世代ツアーをレポートする。
30年以内に除去土壌の再生利用を目指す
2011年3月11日に起こった「東日本大震災」に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、今もなお、双葉町・大熊町には帰還困難区域が存在する。
復興のキーでもある「中間貯蔵施設」は、除染により発生した土壌等を最終処分するまでの間、安全かつ集中的に貯蔵する施設であり、東京電力福島第一原子力発電所を囲むように、大熊町と双葉町の合計16平方キロメートルの広大な土地に地域住民の協力を得ながら整備を実施。除染された土壌等は、中間貯蔵開始後30年以内の「県外での最終処分」が政府に課せられた法的責務となっている。また、除去土壌の再生利用に関する実証事業なども実施しており、着々と復興への足掛かりを作っている。
震災時のことを忘れない、伝える「東日本大震災・原子力災害伝承館」
未曾有の被害をもたらした「東日本大震災」の教訓を世代に紡いでいくため、「つなぐ教訓 未来への道標。」をテーマにした「東日本大震災・原子力災害伝承館」が2020年9月20日、双葉町に開館。当時の地震、津波、原発事故の被害を伝える資料約200点を常設展示し、証言映像、タッチパネル、模型などで、複合災害を改めて学び直すことができる。
8月30日、双葉町・復興拠点の避難指示が解除された
双葉町では、今年の1月20日からは準備宿泊、避難指示解除に向けてのお試し期間が実施されていた。そして8月30日、帰還困難区域に設けられた復興拠点の避難指示が解除され、人々の帰還に向けて新たなスタートが切られた。そんな双葉町の“未来創生”の取り組みに注目したい。
創生する「福島」の未来とヒューマンパワー
双葉町では震災のノウハウを生かした新居住区の設立、そして2022年9月5日より開業する新庁舎。また、大熊町では、大熊町立大野小学校を改築した「大熊インキュベーションセンター」を設立し、数々の企業を誘致に成功するなど“復興”へ向けた新しい展開を見せている。
小島よしおと全国の若者たちがディスカッションを実施
「いま私たちが福島について知り、伝えたい10のこと」を議論のテーマとし、小島よしおと全国の若者たちが福島の今と未来を学ぶ座談会を実施。学生の中には、中国からの海外留学生も参加しており、「自分の目で福島を見たくて、参加しました。そのノウハウを中国へ持ち帰りたい」と、意欲を見せるなか、全国75名のツアー参加者による約2時間にわたる有意義なディスカッションが行われた。
ディスカッションのなかでは、福島の持続的な復興活動に対して、SDGsの精神と照らし合わせる学生も多く、福島の「ヒューマンパワー」を五感で感じ、自身にフィードバックしてする姿が印象的だった。
また、ディスカッションに参加した小島よしおは、「みなさんの想いや熱は実現する。震災が起きた頃は小学生だった人もいるかと思いますが、そのときに感じたことを「今」、行動に移していることは、本当に素晴らしい」とコメント。続けて、「皆さんが今日見て聞いたこと、ディスカッションで出した答えはポジティブにそれぞれの得意な方法で伝えてほしい」と、この次世代ツアーで学んだことを“どうアウトプットするか”や、“その方法”が重要だということを強調した。