2021年12月より東京都内8区(現在は都内12区)でスタートした、たばこのポイ捨て状況を可視化するプロジェクト「ポイ捨て図鑑」。SNSや各種メディアでも大きな話題を呼んだこのプロジェクトが、2022年10月13日より大阪府大阪市でもスタートした。
ポイ捨てされたたばこの吸い殻を「喫煙所に戻れず、迷子になったモンスター」に見立てる「ポイ捨て図鑑」。参加方法は、街なかで見かけたポイ捨てたばこをスマホで撮影し、“スイガラモンスター”としてWebサイト内の地図に登録するだけ。登録時に、モンスター名を設定できる。スイガラモンスターはTwitterやFacebookで共有でき、現実世界とリンクした位置情報ゲーム(位置ゲー)のように楽しめる。
「ポイ捨て図鑑プロジェクト」を展開するのは、公衆喫煙所「THE TOBACCO」を運営するコソド。代表取締役CEOを務める山下悟郎さんに、プロジェクトの狙いや反響、今後の展開について話を聞いた。
万博会場である大阪市をきれいにしたい
ーー「ポイ捨て図鑑」を大阪市でスタートした背景を教えてください。
【山下さん】大阪市は2025年の万博会場です。世界中から人が集まる万博開催に向け、たばこのポイ捨てや路上喫煙をなくしたいとの思いが、大阪市で「ポイ捨て図鑑」を実施したいと考えたきっかけです。大阪市からも、路上喫煙・ポイ捨て対策を積極的に行っていきたいと賛同をいただき、「ポイ捨て図鑑」のスタートが決定しました。
ーー 東京12区内の「ポイ捨て図鑑」の状況はいかがでしょうか。
【山下さん】プロジェクト開始以来、約6000体ものスイガラモンスターが集まっており、少しずつ「ポイ捨て図鑑」が浸透しつつあると実感しています。また、「ポイ捨て図鑑」の一環として、以前よりポイ捨ての多さが問題視されていた東京・渋谷のセンター街には投票型の喫煙所を設置。ポイ捨ての数が90%も減少しました。
ーー「ポイ捨て図鑑」は、非喫煙者の参加者も多いと聞きました。
【山下さん】東京の渋谷、池袋、新宿などでイベントを開催したのですが、参加者の8割は非喫煙者でした。また、非喫煙者の方から「発想が面白いし、ゲーム感覚で気軽に社会貢献できる点がいい!東京だけじゃなく、もっといろいろな場所に広がってほしい」「これまで吸い殻を気にもしていなかったけれど、意識して見ることが増えたことで、実はかなり多くて問題だと感じた」といった声を頂戴しています。
ーー「ポイ捨て図鑑」を通じて伝えたいことは何でしょうか。
【山下さん】1つ目は、楽しみながら参加できる取り組みを通じて、ポイ捨てや路上喫煙に関する意識を多くの人に持っていただくこと。「当たり前によくないこと」という意識をさらに広めて、環境美化につなげたいと思っています。
2つ目は、ポイ捨てなど喫煙に関する問題を可視化することです。喫煙所の設置も清掃活動も、「問題が起きているエリア」で実行しなければ、効果の実感にはつながりません。有効な対策を打つには、問題箇所を可視化することが重要。まずは「ポイ捨て図鑑」をきっかけに、街の人たちの力を借り、ポイ捨てのない社会の実現に近づきたいと考えています。
昨今、「みんなの趣味や趣向、考えを尊重し合うことが大切」といった考えが根付いてきたと感じていますが、たばこは、好き嫌いがわかれるユニークな趣味だと思います。尊重し合うためには、互いを思いやる意識やマナーが必要です。自分が好きだからと言って周りに迷惑をかけていいわけではないので、「ポイ捨て図鑑」が、喫煙者と非喫煙者の間にある課題の解決につながればうれしいです。
また、健康増進法の改正によって喫煙者人口と喫煙可能場所の需給バランスが急に崩れてしまい、その結果、ポイ捨てや受動喫煙の問題が大きくなってしまいました。行政と、私たちのような民間企業とが連携し、マナー違反を起こさせない機能を提供することがとても大切だと感じています。
ーー ありがとうございました。
「ポイ捨て図鑑」の今後に乞うご期待!
大阪市でスタートした「ポイ捨て図鑑」。今後、イベントやキャンペーンの実施も検討しているそうなので、追加情報を楽しみに待ちたい。
また、近日中には横浜市内に「投票型喫煙所」の設置も決定。自治体からのコラボレーション依頼も多いとのことで、近くのエリアで「ポイ捨て図鑑」を楽しめる日も近いかも!?
喫煙者、非喫煙者にかかわらず、楽しみながら街の美化につなげる「ポイ捨て図鑑」。東京や大阪に住む人はもちろん、それ以外の人も足を運ぶ機会があればぜひ積極的に参加してみよう!
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