若者が集まる渋谷から発信!スターバックスの新たな文化・リユース

2023年6月14日

エコバッグ、自転車のシェアリング、洋服のサブスクリプション…さまざまな形でリユースやシェアリングが広がっている。そんななか、大手コーヒーチェーンのスターバックスでも今年3月から全国約1800のうち約1500の店舗で、店内利用時のアイスドリンクの樹脂製グラスでの提供がスタートした。各店でグラスやマグカップの利用を客にすすめるなか、利用率がトップクラスなのが東京・渋谷エリアだという。そこで渋谷にあるスターバックスを訪ねた。

環境への配慮とビジュアルの良さで若者が支持

3月から全国の店舗で導入した樹脂製グラス

これまで店内利用のマグカップはあったが、アイスドリンクは紙カップやプラスチックカップでの提供だったスターバックス。廃棄物削減のために導入したのが、リユース(再利用)できる樹脂製グラス。「スタートから約2か月がたち(23年5月末現在)、マグカップと合わせて店内利用の3人に1人のお客様に利用いただいています」と、スターバックス コーヒー ジャパン エシカルソーシング・サステナビリティチームの高橋芽衣さん。「エリアによってもお客様の層やニーズが異なるので、お客様にどう提案するか、取り組み方はそれぞれのお店に任せています」と、客と直接つながる店舗に方法はゆだねている。

そのなかで、客もパートナー(従業員)も若い世代が多い渋谷エリアの10店舗では客の2人に1人が選択するほどリユース率が高いという。実際に渋谷cocoti店で、マグカップや樹脂製グラスでドリンク楽しんでいる客に話を聞いた。店内を見渡すと、楽しげに語らったり勉強したりする若い世代が多く、多くの客がマグカップや樹脂製グラスを利用している。

同じゼミの3人グループで利用していた22歳の大学生は、店内利用時はいつもマグカップや樹脂製グラスを利用。「プラスなことをしようというより、わざわざ地球にマイナスなことをする必要はないなって思うから」と率直な思いを語る。

初めて樹脂製グラスを利用したという19歳の大学生は、見た目がかわいく使い心地もいいと好評価。「アルバイト先のファストフード店で出るゴミの量や、趣味でよく行く海に落ちているゴミなどを目にしていて、日ごろから環境問題については関心があった」と語る。ほかにも、使い捨てカップよりも見た目に高級感があるのが良いという声もあった。

店内で利用できる樹脂製グラス(左、中央)とマグカップ(右)


渋谷ファイヤー通り店のシフトスーパーバイザー(時間帯責任者)・加藤さんも、「おすすめすると皆さん快く受け入れてくださいます」と、若い世代ほど環境への関心が高いことを実感している。さらにパートナーたちも、客への提案を工夫。

「環境に優しいグラスでご提供してもよろしいですか?」
「プラスチック削減のためにグラスでもよろしいですか?」

マグカップや樹脂製グラスをおすすめする理由をひとこと添えているそう。渋谷エリアの店舗では、“私たちの未来は私たちが創る”というテーマを掲げている。「目的をパートナーと共有することで利用率のアップにつながったと感じています」と加藤さん。
「若い世代が集まるエリアだからこそ、サステナブルというキーワードを軸に、リユースの意義を伝えていくことが大切だと考えました。お客様に共感いただくこと、一人ひとりが当事者意識を持つこと。私たちのちょっとした行動で未来を変えられるよということを継続して伝えていきたい」

渋谷ファイヤー通り店の加藤さん


おしゃれで、楽しく、選べるマイタンブラー

左から、分解して洗える「サニーボトル」、リサイクルステンレスを使った「カーヴドリサイクルステンレスボトル」、携帯しやすい「おりたたみシリコンボトル355ml」のコーラルピンクとブルー

スターバックスでのリユースでもうひとつ注目したいのが、日本上陸時から導入しているタンブラーだ。「サイズ、形が豊富にあって、シーンに合わせて選んでいただけるようになっています」と高橋さん。

導入当初は、本国アメリカのものを輸入して販売していたという。初代はシンプルな小型の筒形で、飲み口をふさぐ蓋はなく、車社会のアメリカでは持ち歩きは想定されていなかったようだ。次第に日本での開発に移行し、きれい好きな日本人のために分解できて洗いやすいもの、持ち運びやすいベルトが付いたものなど、日本のライフスタイルやニーズに合ったデザインが登場するようになった。

初期のタンブラー。一番左が最初に売られたタンブラー


最新作は、シリコーン樹脂製で折りたたんで運べるタイプの「おりたたみシリコンボトル355ml」。牛乳瓶のようなかわいい形状で、コーラルピンクとブルーのキャッチ―なカラーが目を引く。「嵩張りや重さを気にされる方にもお持ち歩きいただけるようにと開発しました。タンブラーを持ち歩く文化が広がり、リユースが当たり前になってほしい」と高橋さん。

エシカルソーシング・サステナビリティチームの高橋さん


そして5月31日には、タンブラーを楽しく、気軽に、継続的に利用してもらうため、スターバックスアプリと連動した「タンブラー部」が発足。

タンブラー部ロゴ入りの「リユーザブルコールドカップグリーン478ml」(440円、限定数)も登場


「利用回数によってさまざまな仕掛けが施されています。自分がタンブラーを使った回数を見える化でき、みんなで使った回数を公開することで一体感を持ち部活のように楽しめます。タンブラーをよりいっそう楽しみながら使っていける取り組みにしていきたいです」

スターバックスが提案する新たなリユースの形。幅広い選択肢とさまざまな仕掛けで楽しく廃棄物の削減、環境貢献に参加でき、ますます支持を集めそうだ。

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