豊島株式会社は、全国の15歳~49歳、男女1000名を対象に「サステナブルファッションに関する調査」を実施した。本調査は2014年より実施されており、現在の環境配慮への意識や取り組み、環境配慮型素材、着なくなった衣服の回収など、サステナブルファッションに対する興味関心の実情を捉え、ファッションにおける環境配慮について、消費者はどのように考えているかを把握することを目的としている。
【調査概要】
調査時期:2023年7月11日~7月18日
調査対象:全国の15歳~49歳 男女1000名
調査手法:インターネットによるアンケート調査
※調査結果・データは四捨五入しており、合計パーセンテージが100%にならない場合があります。
不要になった服の回収取り組み、80%以上が認知
不要になった服の回収取り組みについては、「知らなかった」と答えた人は19.6%と少数で、「知っている」と答えた人は80%を超えた。不要な服を回収する取り組みへの認知度の高さがうかがえる。一方で、「見たことはないが知っている」「見たことはあるが、持ち込んだことはない」という、認識はしているが行動にまで移せていない層が57.8%いることがわかる。「見たことも持ち込んだこともある」と回答した人は22.6%。約5人に4人は取り組みを認知しているが、そのうち行動に移しているのは約5人に1人という結果が見て取れる。
不要になった服は60%以上の人が古着屋やフリマアプリで再利用
「不要になった服をどのようにしますか?」という問いには、「家庭ごみとして捨てる」という回答が43.1%と最多。一方で、「古着屋で売る」(31.1%)、「フリマアプリに出品する」(30.2%)といった回答がそれぞれ3割を超えた。約6割の人が不要になった服を捨てずに再利用していると推測できる。
世界では、廃棄された衣類の73%が焼却・埋め立てに使われているという現状に対して…
「世界の洋服のおよそ73%は廃棄され、焼却・埋め立てに使われているのが現状」に対して、81.9%が「問題である」と回答。「問題ではない」という回答は合わせて18.1%と少なくなっており、多くの人が問題視していることがわかった。これだけ多くの人が問題視している現状に対して、洋服を提供する側もあらためて考えていかなくてはならない課題といえるだろう。
「3R」、半数以上が明確にはわからず浸透しきっていない
「3R」とは、Reduce(リデュース)=減量、Reuse(リユース)=再使用、Recycle(リサイクル)=再生の3つのRをとった言葉。環境と経済が両立した循環型社会を形成していくための3つの取り組みの頭文字をとった、この「3R」の認知度について調査した結果、「明確に何をするかが分かる」と答えた人は、3つとも半数以下にとどまっており、まだ3Rについては浸透しきっていないことがうかがえる。
不要になった服を回収する取り組みに対して…
不要になった服を回収する取り組みに対して、合計で70%以上が「参加したいと思う」と回答しており、高い意欲がうかがえる結果となった。「不要になった服をどのようにしますか?」という問いのところで、不要になった服を家庭ごみとして捨てるという回答は半数以下であり、消費者は不要な服の回収の取り組みに対する興味が大きいと考えられる。一方、「どちらかと言えば参加したいと思わない」は14.5%、「参加したいと思わない」は13.1%と、少数にとどまった。
「WAMEGURI(ワメグリ)」の環境問題の解決に向けての取り組みに対して…
豊島株式会社では、不要になった繊維製品を素材ごとに回収・再生するプロジェクト「WAMEGURI(ワメグリ)」に取り組んでいる。これは、日本国内の不要になった繊維などを専用の反毛機械を使って、わた状に戻し、再び紡績し、新しい商品へ生まれ変わらせるプロジェクトだ。衣類の大量廃棄という環境問題解決に向けた「WAMEGURI」の取り組みについて、83.2%が「応援できる」と回答している。
環境や社会に配慮したファッションを取り入れたいと思う人は70%以上
環境や社会に配慮したファッションを取り入れたいと考えている人は約70%にのぼった。多くの人が環境や社会に対して、興味があり、高い関心を持っていることがうかがえる。
「環境や社会に配慮したファッションを取り入れたいと思う」と回答した人にその理由を聞いたところ(※複数回答可)、「地球環境保護に参加したいから」が61.2%と最も多く、次いで「社会貢献に興味があるから」が43.1%と続いた。以上のことから、ファッションを通して地球環境保護や社会貢献に取り組みたいと思っている人が多く、トレンドや自己表現などの理由として考えている人は少ないことがわかる。
今回の調査において、性別や年齢によって結果に違いは?
今回の調査について、豊島株式会社の担当者に話を聞いてみた。
「(今回の調査結果の注目ポイントは?)昨今、衣料の大量廃棄が問題視されており、ファッション業界内では店頭に衣類回収BOXを置くなどの取り組みが幅広く行われるようになっています。そういった衣類回収の取り組みを80%以上の方が認知しているなかで、持ち込んだことがある人は約22%にとどまっています。この数値から、より回収がされやすくなったり、消費者の方々が回収に持って行きたくなったりするような仕組み作りをファッション業界全体でする必要があることがうかがえます」
「(今回の調査で、性別や年齢により結果に違いは?)全年代を通して『見たことはないが知っている』の回答が高い結果となっていましたが、『見たことも持ち込んだこともある』だと男性は40代、女性は30代、40代が高い結果となっていました。このことから、生活の中で衣類回収へのタッチポイントを増やし、さらに若い世代の方々がより参加したくなる方法や施策が必要なのではないかと考えられます」
「(ユーザーへのメッセージは?)ファッションを身にまとって楽しんでいただくだけでなく、そのあとの廃棄の部分についてもしっかりと仕組みを整え、衣類が環境へ与える負荷を減らしていく方法を考えています。ぜひ興味を持っていただきながら、回収についてはみなさまにもご協力をいただけるとうれしいです」
今回の調査を通して、個人レベルでの衣料品回収の現状と、企業が行う衣類回収プロジェクトへの認知の高まりや、それらに参加したいという意欲の高さが見えてきた。ファッションを楽しんだあとの廃棄の部分についても、引き続きファッション業界と消費者の人々がともに考え、行動していくことが必要だといえるのではないだろうか。