サステナビリティ経営の“実態”を調査!大切なことは“経営層からの具体化されたメッセージ・社内外への発信”だった

2023年11月25日

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今回取り上げるのは、サステナビリティ経営に関する調査。コーポレートブランディング支援を手掛ける株式会社揚羽によって実施された同調査によると、サステナビリティ経営に大切なことは経営層からの具体化されたメッセージ・社内外への発信だった。全国のビジネスパーソンを対象に、勤務先のサステナビリティ経営推進への関心・取り組みに関して行われた本調査について、担当者に話を聞いてみた。

サステナビリティ経営の課題とは


――今回の調査を実施した意図や狙いを教えてください。
弊社の事業領域のひとつにサステナビリティブランディング支援があります。サステナビリティ経営に取り組む企業に対し、差別化を図る活動方針の策定や、社内外への情報発信の企画・コンテンツ制作、サステナビリティ経営専門YouTubeチャンネルでの紹介などを行っております。各社へのご支援を続けるなかで、サステナビリティ経営の実態を明らかにし、企業の取り組みを後押しする糸口を探るために本調査を企画しました。具体的には、サステナビリティ推進に関わる担当者が抱える課題を明らかにする、また、サステナビリティ経営に携わらない社員から見た自社のサステナビリティ経営に関する評価を探るべく、調査を実施しました。

――調査の注目ポイントを教えてください。
本調査の注目ポイントは3つあります。
1.サステナビリティ推進の課題は「他社との同質化」が最多
サステナビリティ経営に取り組む初期段階では、ガイドラインや評価指標に沿った「同質化」と言える対応が必要であり、取り掛かる企業が多くありました。しかし、今回の結果を見ると、その後の「差別化」が求められるフェーズの企業が増えていることがわかります。今後は、ビジネス成功の本質ともいえる「攻め」の取り組みが鍵となりそうです。

【画像】サステナビリティ経営の課題に感じることは「他社と同質化してしまう、自社らしい取り組みができていない」「人手不足」が最多(36.2%)(C)株式会社揚羽


2.サステナビリティ推進担当者と他社員とのギャップ
サステナビリティ推進に携わらない社員の8割以上が自社の取り組みを知り、7割近い社員がその取り組みに共感できると答えた一方、サステナビリティ推進に携わる社員の半数以上が社内外への発信が十分にできていないと感じ、社員から共感を得る方法がわからないと悩む声も集まりました。自社のサステナビリティ活動に共感できると回答した社員の理由からは「取り組む姿勢・意志」を重視する傾向が見られました。

サステナビリティ経営の推進に関与していない社員のうち、「自社のサステナビリティに関する取り組みを知っている」社員の比率は8割を超える(81.3%)(C)株式会社揚羽

「自社のサステナビリティへの取り組みに共感できる」の回答は7割近く(68.5%)。理由としては、「取り組む姿勢・意志」を重視する傾向があった(C)株式会社揚羽

サステナビリティ経営の推進に携わる部署に所属する回答者のうちの過半数が、「サステナビリティ経営を社内・社外に十分に発信できていない」(社内 56.9%、社外 53.5%)と感じている(C)株式会社揚羽


3.社員には経営のメッセージ、具体的なプロジェクトが効果的
社員は「経営のメッセージ」から取り組みを知り、「具体的なプロジェクト」が印象に残るという結果が出ています。「経営のメッセージ」は各社での実施率が高いものとも考えられますが、それにより8割以上が取り組みを知っていると回答したことから、効果的な施策と言えそうです。また、パーパスや活動方針を掲げるだけでなく、それを体現した象徴的な取り組みは、社員が自社のサステナビリティ経営推進に関心を抱く大きなきっかけとなりそうです。

サステナビリティ経営に携わらない社員が自社のサステナビリティ経営に関する取り組みを知ったきっかけとしては、「具体的なプロジェクト」が最多(47.4%)(C)株式会社揚羽


――貴社の考えるサステナビリティ経営とはどのようなものですか?
サステナビリティ経営とは、社会的価値の追求と経済的価値の追求を高い次元で両立させることだと考えています。わかりやすく言えば、地球や困っている人にとって役に立つことを仕事にして、対価をきっちり得ようということです。世界的に経済が拡大していくなかで、多くの企業が、地球や困っている人を置いてけぼりにしてしまったという側面があります。今、気候変動の問題で地球が悲鳴を上げており、人口が世界的に急増するなかで、貧困や差別に困っている人は未だ絶えません。こうした問題に真摯に向き合い、向き合った企業や人が報われるというビジネスを作っていくことが重要です。すぐには成果が出ず、非常に難しいことだと思いますが、この両立を実現させることこそがサステナビリティ経営だと認識しています。

――なぜサステナビリティ経営が必要であると思いますか?
特に、気候変動の問題と資源枯渇の問題が大きいと思います。世界中の企業が過去のやり方のままビジネスを続けていけば、地球温暖化が進み、資源が枯渇してしまうということは、調査によって裏付けられています。資本主義の形が「株主至上主義」から「地球至上主義」に移行しようとしているのだと捉えています。特に、エネルギー自給率も低く、世界に先駆けて高齢化・人口減少の局面を迎えている日本にとって、サステナビリティ経営は喫緊の課題と言えるでしょう。日本企業こそが、世界に前例を示さなくてはならず、逆に言えば、それを示すことができれば世界中から注目を集めることができるチャンスだとも捉えています。

――日本でサステナビリティ経営が進まない要因を教えてください。
消費者の意識がまだついてきていない現状があります。たとえば、毎日のように新聞などにも取り上げられている電気自動車(EV)も、日本での普及率は未だ2%に届いていません(2023年11月時点)。ほかにも、海外に住んでいる方に「日本に来て、違和感がある点は?」と聞くと「プラスチックを使いすぎ」とよく言われることなども挙げられます。確かに日本の商品は何層にも包装がされている商品が未だ多く、他国に比べて過剰包装の傾向があります。

いくら企業がサステナビリティ経営に舵を切りたいといっても、ビジネスとして回収できるマーケットとして消費者の意識が育っていなければ大きな投資は足踏みせざるを得ません。企業は消費者にサステナブルな商品・サービスを通じて消費者に啓蒙的に働きかける必要がありますし、一方、消費者側もサステナブルな意識の高い商品・サービスにプレミアムな価格を払うようになっていく、二人三脚の変化が必要です。ただこの変化は、間違いなく進んできていますので、断言はできませんが、ここ数年で大きな変化が起こると予測しています。

――サステナビリティ経営を加速させるために必要な要素を教えてください。
企業がサステナビリティ経営をさらに加速するためには、個社ごとの努力だけではなく、お客様・サプライヤー・従業員・求職者などと手を取り合い「共創」による価値創出が必要になります。以下の3つの「P」を継続的に回し続け、社内外のステークホルダーから共感を得ることが欠かせません。
 ①パッション(経営の覚悟はあるか)
 ②プロジェクト(シンボリックな取り組みはあるか)
 ③プロセス(勇気ある発信はできているか)

経営者がパーパスを語ることとともに、そのパーパスと連動した「我が社らしい、我が社ならでは」のシンボリックなサステナビリティ活動をしっかりと企画し、実践していき、その活動を認知させることもあわせて行っていくべきです。そして、「本気で取り組んでいる」ことを認識してもらうために、プロセスを公開することも重要です。

調査や各社へのご支援のなかで、自社のサステナビリティ活動について「まだできていない」という理由で情報を発信できていない企業も多い印象ですが、大切なのは、成果だけでなく、失敗や課題といったありのままのプロセスを公開することで、その誠実な姿勢への共感を呼び、ファンになってもらうことです。

今後、日本はサステナビリティ経営で世界を率いる国々の一角となれるのか、注目したい。

文=土屋梨夢

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