近年、SDGsへの取り組みが活発化しているが、そのなかでも注目を集めているサービスがある。ZERO株式会社が展開する、“フードロス”と“CO2削減”を掲げた「fuubo(フーボ)」だ。「fuubo」は、廃棄されてしまう可能性のある食品をお得に提供するフードロス削減BOXなのだが、昨年2023年からは災害救援機能を付加する取り組みも行っているという。
フードロス削減BOXが災害救援機能を備えるというのは、一体どういうことなのだろうか。「fuubo」について詳しく探るとともに、ZERO株式会社の代表取締役にも今後の展開や災害時の役割などについて話を聞いた。
「fuubo」とは?
「fuubo」は2021年6月に開始されたサービスで、まだおいしく食べることができるにも関わらず、納品期限切れや季節限定パッケージなどにより廃棄されてしまう可能性のある食品を、お得に提供している無人販売機。フードロス商品を買うことに同意して会員登録を行ったユーザーは、専用Webサイトから受け取りに行けるボックスを選び、その中に入っている商品をオンライン決済にて購入することができる。
また、フードロス商品を購入するだけでなく、フードロス削減量をCO2排出削減量に変換して数値化することで、SDGsに対して“見える化”して取り組んでいるのも特徴だ。
災害時はインフラとしての役割も!一体どういうこと?
通常、fuuboは電子ロック機能が稼働しているが、停電時においてはキーロックの手動解除が可能に。災害の発生によりライフラインが寸断されてしまった場合、その復旧や支援物資が届くまでの期間、fuuboで販売されているフードロス商品や衛生用品等を一時的に提供するインフラとして活用できる。2023年の試験運用ではトイレットペーパーや簡易トイレを中心に、救急キットや生理用品など、災害時に需要が増え品薄状態になりうる商品を納品。今後は上記以外にも需要のある飲料水、紙おむつ、非常用バッテリーなどの災害用品等も納品を計画しているという。
代表取締役が語る「fuubo」の今後
フードロスやCO2排出削減だけでなく、災害救援インフラとしてのニーズも高まりそうなfuuboだが、今後の展開などについて、ZERO株式会社代表取締役の四辻弘樹さんに話を聞いた。
――fuuboは2024年2月現在で何台設置されていますか?
【四辻弘樹】首都圏を中心に、北海道から沖縄まで全国に56台設置しております。
――実際に導入されている企業の声、使われている人の声など、届いていましたら教えてください。
【四辻弘樹】導入している企業様からは「(利用の多さが)想定外でびっくり)」「非常に高い満足度で推移している」「fuuboを活用し、廃棄せず消費することで、CO2排出削減に貢献できていると考えている」といった声や、ご利用者様からは「使い方がとても簡単」「SDGsに参加できているのがうれしい」「オフィスの中にあるので気軽に利用できる」などの声をいただいています。
――災害発生時のfuuboは、どのような形で被災地の人々の手助けとなるのでしょうか?
【四辻弘樹】通常時は通信機能を備えた電子ロックでドアの開閉を制御しておりますが、災害時の停電などを想定して、リアルキーによる手動解除が設置箇所の管理者によって可能となっております。ボックス内で通常は販売されている菓子や飲料類に加えて、災害時に必要となる救急キットやトイレットペーパーの提供を可能としており、救援物資が届くまでの間の救急インフラとしての機能を提供しております。
――今回の能登半島地震でも活躍したのでしょうか?
【四辻弘樹】現時点では能登半島を含む石川県での設置はございませんので、具体的に活躍したエピソードはございませんが、石川県の隣県に設置導入いただいている事業者様からは「もし震災が発生した場合にfuuboは役に立つだろう」といったお言葉をいただいております。
――「フードロスとCO2削減」としてのfuubo、「災害救援販売機」としてのfuuboも合わせ、2024年には全国に何台設置予定でしょうか?
【四辻弘樹】2024年12月までに300台強の設置を目指しております。
同社によると、2024年はfuubo内に災害備蓄品をストックし、「災害救援販売機」としてのインフラ機能の拡充をより一層強化していきたいという。fuuboが“身近で・便利で・不可欠”な存在となり、今後さらに社会で活躍することを期待したい。