絵本の情報・通販サイト「絵本ナビ」を運営する株式会社絵本ナビは、SDGsへの取り組みとして、絵本を活用した子どもの居場所の支援(こどもえほんだなプロジェクト)を行う。それに先立ち、本プロジェクトの支援先の公募(自薦・他薦)が行われている。
この企画への想いなどを担当者に話を聞いた。
ーー今回の企画に関して、意図や狙い、ターゲットは?
絵本ナビは、年間約2000万人の方に利用いただいている絵本の情報サイトです。サイトには約45万件の絵本のレビューが寄せられ、絵本選びの参考に活用いただいています。このように、子育てにおいて絵本をお探しの方が今なお多くいらっしゃる反面、現実には毎日の忙しさや、さまざまな便利でお金のかからないコンテンツがあふれ、望んでいたほど絵本を読めていない(読めなかった)というお声も多数寄せられます。
さらには、忙しさに加えての経済的制限もあり、十分に子どもに本を買うことが適わない世帯もあるのも事実で、文化資本の有無が子どもたちの未来に関わることは明確です。絵本ナビとしては、すべての子どもが平等に絵本に触れられる世界の実現を目標とし、今後支援を募集する形で、先行して寄贈先を募るプロジェクトを進行する運びとなりました。現時点でも、さまざさま施設(子ども食堂、発達障害支援センター、放課後デイサービスなど)からお申込みをいただいており、図書館以外でも絵本がいかに必要とされているかが伝わる結果となっています。
ーー今回の企画のイチオシポイントは?
寄贈にあたってはすべて無償であること、また、選書に当たっても絵本ナビ(絵本のプロ)が自信をもって選ぶものばかりです。
ーー今回の企画のアイデアはどのようにして生まれた?
社会貢献として持続可能な方法を検討した際に生まれました。
一冊でも多く絵本に出会える「子どもの居場所」支援
本プロジェクトは、当社の事業のミッションである「『幸せな時間』を増やすことに貢献する」に基づき、絵本を通じて、大人と子どもが豊かな時間を過ごし、また子どもたちは新しい世界や考え方を知るきっかけになる社会の実現を目指すもの。
絵本を活用してくれる施設や事業団体などからの申込みや推薦を募集している。
寄贈内容
支援先には「こどもえほんだな」セットとして、絵本約30冊と絵本棚1台、および寄贈に関わる費用なども含めた一式(実質約十数万円相当)を無償で提供する。
絵本 約30冊
・絵本ナビ編集長をはじめとした、経験と実績豊富な選書チームが、選書コンセプトをもとに良書絵本を選出。
・寄贈先にて最適なコンセプトの絵本セットを選べる。
・選書コンセプト例:
インスパイア(Inspire)〜ひらめきを子どもたちに〜
ちょっと難しくても、自分の世界を拡げる、新しい何かに出会うドキドキ、ワクワク、ひらめきがテーマ。新しい時代を担う子どもたちに、「世界を拡げ、未来の入口となる絵本」に触れる機会を提供する。
絵本棚 1台
・フチ周りにやわらかいスポンジ素材のEVAを使用し安全。汚れに強く、長く使用できる。
・本プロジェクトロゴや協賛企業のロゴが入る。
寄贈先の決定について
寄贈される「こどもえほんだな」の数は、支援額に応じて決められる。寄贈を希望する施設の運営者には、申込フォームに希望理由などを記入してもらい、その内容から絵本ナビの審査を経て設置先が決定される。
プロジェクトの背景
共働き世帯が7割を超え、子どもと過ごす時間が限られる実態があり、また時に大変な事情から、子どもが絵本に触れることもままならない環境があるということを見過ごすことはできない。
子どもたちにとって家庭や園・学校以外の「居場所」での出会いやその居心地をよりよいものとすること。そしてその「居場所」で出会う絵本や児童書の世界もまた、子どもたちにとって、好奇心を広げ、探求心を育て、生き抜く知恵や知識が身に着く場となるに違いないという考えから、本プロジェクトは始動した。
プロジェクトが目指すSDGsゴール
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに|すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」を中心に、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に対応。子どもが置かれている家庭環境などに関わらず、子どもが訪れる医院や店舗などで質の高い絵本に出会う機会を提供するものだ。