「サメ資源のSDGsと食文化のSDGsにも取り組む中華・高橋」ピーチシャーク誕生以降のサメ市場拡大、サメのゼロエミッションとは?

2024年7月24日

全国有数の漁港である宮城県気仙沼は、サメの水揚げが全国の約7割にのぼる。気仙沼で水産加工品を製造販売する株式会社中華・高橋は、世界有数のサメ消費国としてその食文化の火が消されないように、サメ資源のSDGsとあわせて食文化のSDGsにも取り組み続けている。そこで、中華・高橋の代表取締役・高橋(※「高」の正式表記は「はしごだか」)さんにインタビューを実施し、SDGsの具体的な活動内容や、ピーチシャーク誕生以降のサメ市場拡大、サメのゼロエミッションについて話を聞いた。

中華・高橋の高橋代表取締役とピーチシャーク(R)のイメージキャラクター、ヨシ子(48)との2ショット


サメ資源のSDGsと併せて食文化のSDGsにも取り組む


――SDGsの取り組みをはじめたきっかけを教えてください。

国連でSDGsが成果文書として採択されたのは2015年ですが、私たちがサメの持続的活用に取り組み始めたのはSDGsというワードが生まれるずっと前の2000年初頭です。その背景には、世界的なサメ保護気運の高まりがあります。この頃から、サメのゼロエミッションと銘打って、フカヒレのみならずサメ肉の“高付加価値化”に取り組み始めました。

――具体的な活動を教えてください。

産学協同研究を中心に、脱臭技術開発、機能性研究、鮮度管理研究、商品開発、認知拡大のための広報活動などの取り組みを行ってきました。サメ肉の取り組みのほかにも、フィニングされたフカヒレの受け入れ拒否、国際漁業管理機関による資源評価をもとにした活用魚種の選定、環境団体との情報交換や視察受け入れなどを積極的に行い、“サメ”という限られた世界ではありますが持続可能性に対する探究に取り組んできました。

――「ピーチシャーク」の誕生以降、急激にサメ肉市場が拡大した理由を教えてください。

はんぺんとしてその名を隠して流通していたサメ肉が、「サメ肉」として堂々と市場で流通を始め、それを消費者が抵抗なく受け入れるようになったこの変化こそが重要だと思います。贅沢なフカヒレだけを消費して、「サメ肉なんぞ食べたくない」といった時代から、フカヒレも食べるけどサメ肉も食べるという、まさにサメのゼロエミッションが日本の外食市場で当たり前に起こっているのです。

ヨシキリザメの切り身を「ピーチシャーク(R)」という名称でブランディング


――「サメのゼロエミッション」は素晴らしい取り組みですね。

典型的な事例は回転寿司業態。フカヒレが廻りサメ肉も廻る。残念ながら環境保護活動によって日本の伝統的な鯨の食文化が尻すぼみとなってしまっていますが、世界有数のサメ消費国として、その食文化の火が消されないように、サメ資源のSDGsと併せて食文化のSDGsにも取り組み続けます。

ピーチシャーク(R)の昆布締め。2023年には悲願の刺身で回転ずし業態での提供を達成

2017年に稼働を開始したサメ肉専用工場「気仙沼工場 Shark R&D Center」


取材協力:株式会社中華・高橋

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