まだまだ着られる古着をアップサイクルし、障害を持つ人々が簡単に身につけることができておしゃれも楽しめる服へとリメイクする活動を行う「vivaclu」。代表の坂井うららさんに、立ち上げた経緯や思いについて話を伺った。
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高校を卒業後留学し、大学でグラフィックデザインの勉強をした坂井さん。東京のデザイン会社に勤務していたが、結婚を機にフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動。自然豊かな場所で子育てをしたいという思いと音楽活動をするご主人の希望が重なり、現在は愛知県豊田市の山間部で暮らしている。
坂井さんが古着のアップサイクルで障害者向けの洋服を手がけるようになったのは、ダウン症の息子がきっかけだ。「ダウン症の子は、染色体異常により胴体に比べて手足が短い方も多く、既製品の服だとどうしても袖や裾を折り曲げて着なくてはなりません」と話す坂井さん。着脱がしづらく、動きにくそうな息子の様子を見て「ほかのダウン症の子や障害者の人も同じように困っているのではないか」と考えたという。
坂井さんはSNSを使って障害者とその家族にアンケートを実施。多くの人々が同じような困りごとを抱えていることがわかった。
一方で日本のみならず、世界中のまだ着られる衣服が大量に廃棄されている事実を知ってショックを受けた坂井さんは、「私にもできることはないか」と思案。そこで古着をアップサイクルして障害者のための服を作ることを思いつき、2024年に障害者のためのファッションブランド「vivaclu」を立ち上げた。
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材料となる古着は、地域の公的機関にボックスを設置して回収。普段から地域の行事に積極的に参加している坂井さんは、「みなさんが協力的でとても助けられています」と話す。
集まる古着はアウターからシャツ、ズボンまでさまざま。これらのパーツを一旦分解し、裾や袖を短くしたり、開き口を増やして着やすいように工夫する。「腕の可動域が狭い人もいるので、背幅を広げたり、腕の部分をゆったりとさせたりしてできるだけ簡単に着脱できるようにしています」。
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また、単純に機能性だけを重視するのではなく、ファッションとして楽しめるようデザインも考える坂井さんは、障害者のアート活動を主軸とした生活介護事業所「アトリエ・ブルート」から、障害者のアートを雑貨や小物などの商品にする仕事も請け負っている。さらに愛知県内で活動をする障害者をモデルに、坂井さんが作った洋服でファッションショーも開催。当日は98人を超えるお客さんが集まった。「個性的な洋服に身を包みうれしそうな障害者の人たちの様子に、見に来てくれたお客様もとても喜んでくれました。ほかの子の出番に飛び出したり、直前まで洋服を着てくれない子などいろいろなハプニングがありましたが、それもひっくるめて楽しかったですね」と坂井さんは笑顔だ。
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現在はオンラインショップのみでの販売で、「試着をしてもらうことができない」と話す坂井さん。そのための画策も思案中だ。
また地域への貢献も視野に入れている。「地域の方々には、vivacluを立ち上げる時にサポートしてもらいました。将来的に商店街へ工房を作り、地域に仕事を生み出し、活性化につながればうれしいですね」と笑顔で話す坂井さん。今後の活動にも期待したい。
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