駅員さんから聞いたさくらの性格や春の風物詩を漫画に
初めて聞いた「ザンギョウ」について「ギョウザみたいで美味しそう…」「『ギョ』がつくから…魚かにゃ?」と想像する、食いしん坊のさくら。この可愛い一コマは、駅員さんから聞いた実際のさくらの性格を元にしているのだそう。
「駅員さんたちから『さくらは食いしん坊』と伺っていたので、これは絶対にお話に出したいと思っていました。なのでさくらが想像する『ザンギョウ』は全部食べ物です(笑)。人間の残業は大変ですが、残業をする際はさくらのエピソードを思い出してもらって、ほっこりしてもらえると嬉しいです」
また漫画に登場する桜のライトアップも、実際に芦ノ牧温泉駅の春の風物詩として多くの方に愛されている。
「桜の樹齢が90年以上だと伺って、ビックリしたんです。駅員さんたちも毎年感動するそうで、これを漫画でも描きたいなと思いました。ネコ駅長だった『らぶ』にとってもその美しさは、自慢だったように感じます。そして、妹のさくらにも見せて驚かせたかったんじゃないかなと。そんなことを考えながら、今回のお話を描きました」
しかし、たった2色でライトアップされた桜を描くことは、苦労も大きかったと振り返る。
「まさか黒とピンクだけで表現することになるとは、思ってもみなくて。どうしたら良いか分から~ん!という感じでした(笑)。試行錯誤しているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまって…。もう、出来上がるまで3年くらいかかるのでは!?と思ったほどです(苦笑)。読者の皆さんにとっても印象に残るコマになっていれば嬉しいです」
幻想的な桜のライトアップに目を輝かせるさくら。大好きな兄と来年も残業してこの景色を見たいと願うものの、実際にはこの願いは叶わなかった。兄から大切なことをたくさん教わり、成長していくさくらの今後と会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の美しい風景を、これからも楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京