最後に泣いたのはいつ?“イケメソ”が一緒に泣いてくれる「イケメソ宅泣便」の涙活セラピーを受けてみた

2022年6月14日

大人になって極端に減ってしまうことといえば、“泣くこと”ではないだろうか。子供の頃はしょっちゅう泣いていた人も、だいたいが歳を重ねるにつれて泣く機会が少なくなっていく。時には思い切り泣きたいことがあっても、「泣くのは恥ずかしい」と感じている人も多いかもしれない。

筆者もここ数年ほとんど泣いていないが、泣きたくなかったわけではない。大人だからなのか、仕事でミスをした時や人間関係に悩んだ時でも恥ずかしい気持ちが勝ってしまい泣くことができず、心が「スン…」と凪になってしまう。さらにもうすぐ梅雨の時期。どんよりした日々が続くと思うと、もう憂鬱が止まらない。

そんな時にたまたま見つけたのが「イケメソ宅泣便」。これは「涙活」(るいかつ)に特化したイケメンセラピストが一緒に泣いてくれるサービスで、イケメンと涙を流し合うことで心が癒やされストレス解消に繋がるというものだ。「本当に泣けるの?」と疑問を抱いた筆者は、イケメソ宅泣便を運営する寺井広樹さんにインタビューを行うことに。このサービスを始めたきっかけなどを聞いた。

そして後半は、「特に男性の前ではすっかり泣けなくなった」という編集部員・三浦、「まじで普段泣かない、うれし泣きも悲し泣きもない」と話すライター・西脇と共に、イケメソ宅泣便のセラピーを受けることに。ネタバレしすぎない程度に「涙活」の全貌をレポート!

セラピストの亜蘭さん。インド系イギリス人と日本人のハーフだ


そもそも「イケメソ」って何者?

イケメソ宅泣便のセラピストはみんな「涙ソムリエ」(涙活事務局が認定する民間資格)の資格を取得した涙のプロフェッショナル。彼らの前で泣くことで普段表に出せない感情を出すことができ、ストレスを解消できるという。

イケメソ宅泣便を知った時は、イケメンが1対1で客の悩みを聞いて「よしよし、大丈夫だよ」と慰める…というサービスかと思っていたが、まったく違うものだった。セラピストが「実は…」と自らの生い立ちや経験を話した後、泣けるストーリーの動画作品を一緒に見てお互いに涙を流す。イケメソの話に自分の人生を重ねるうちに心が揺れ、その状態で動画などを観て涙腺を崩壊させる、というのが一例だ。

まず気になるのが「イケメソ」という存在。一体どのように選んでいるのだろうか。

「イケメソになれるのは、イケメン評論家の基準で“イケメン”と認められ、かつ美しく泣くことができる涙脆い人だけ。実はとても狭き門なんです。イケメソがこぼれ落ちる涙を拭いてくれる『頬ぽん』のサービスも大人気で、仕事や人間関係の疲れをリフレッシュすることができると好評です」

セラピストはクール系イケメソや清楚系イケメソをはじめ、スイ-ト系歯科医師イケメソ、ハーフ音楽家イケメソ、そしてイケメソ剣士まで幅広い経歴を持つ人たちが在籍。その人のキャラクター独自の癒やしを与えてくれるのも楽しみの1つだ。


もともとは「泣けない男性」のためのサービス!

イケメンが一緒に泣いてくれるわけだが、もともとは男性向けのサービスだったんだとか。「忙しい日々を過ごすサラリーマンが遠慮なく泣ける機会を作りたい」と始めたサービスだが、蓋を開けてみると女性の参加者が多く、「イケメンの涙を見たい!」とファンが急増。同時期に写真集『イケメソ男子』を出版したところ、さらに需要に拍車がかかったという。

「『イケメソ男子』は、文字通りイケメンたちが泣いている姿を収めた写真集です。鈴木一徹さんをはじめ色気を出す仕事をしているセクシー男優が起用されたこともあり、露出多めで涙を流すイケメンたちの姿に多くの方が癒やされたそうです。涙を流すという行為は、自分をさらけ出すいわば『裸』のようなもの。だからこそセクシー男優との相性がよかったのかもしれませんね」

写真集の成功もあり、「では泣きたい女性たちにたくさん泣いてもらおう」とイケメソ宅泣便が本格的にスタート。当初は法人向けのサービスだったが、コロナ禍でのリモートワークの増加や「個人でもお願いしたい」という熱い要望があり、現在はオンライン限定で個人向けのセラピーも行っている。

ちなみに北海道と東海地方からの依頼が多いそうで、「東海はなぜかわからないですが、北海道は日照時間と関係しているかもしれませんね」と寺井さん。

108あるという「泣きツボ」。職業によって泣きやすさも?

イケメソ宅泣便を監修する寺井さんも、もちろん涙のプロフェッショナル。これまでに2万人くらいの人々を泣かせてきたという。能動的に涙を流すことによって心のデトックスを図る「涙活」を世に広めるべく奔走中だ。

「人には108の”泣きツボ”と呼ばれる涙脆いポイントがあります。例えば親子愛や兄弟愛、動物愛、夫婦愛などです。ほかにも大切な人の死などもあります。泣き方も十人十色なので、それを見分けてあげるのが泣かせるコツですね。ですが、泣かせる前にしっかり心を開いてもらうことが大事です」

また、性格や職業によって“泣きやすさ”があるという。特に警察官や弁護士などの物事の真偽を見定めないといけない職業、マスコミ関係などの物事を斜めに捉えないといけない仕事の人は泣きにくい傾向にあるそうだ。逆に泣きやすいのは物事を直感で理解する人、感性を使う職業の人だという。

筆者が寺井さんに「僕はどうですか」と聞いてみたところ、「すごく涙脆そう。すぐ泣かせられると思います(笑)」という診断に。逆に三浦については「編集者の方は矛盾を見つける職業でもあるので、セラピストの話をしっかり聞きすぎて泣きづらいかもしれませんね」とのこと。同じような職業でも泣きやすい・泣きにくいがあるようだ。

  1. 1
  2. 2