最後に泣いたのはいつ?“イケメソ”が一緒に泣いてくれる「イケメソ宅泣便」の涙活セラピーを受けてみた

2022年6月14日

というわけで、実際に涙活セラピー受けてみた!

寺井さんから話を聞いた後は、実際にセラピーを受けてみることに。セラピーの時間はおおよそ1時間半。法人は1回につき7900円、個人は5670円で、公式サイトから気軽に申し込むことができる。今回はオンラインで受けることになった。

今回担当してくれたのはハーフイケメソの後藤亜蘭さん。音楽家や俳優として活動しているアーティストで、得意な楽器は木管楽器のファゴット。なんとセラピーの最後に演奏もしてくれるという。

低くて落ち着いた声があまりに大人びていて、ほとんど同い年だとは思えなかった


セラピーの時間になると、画面には彫りの深い美しい顔の亜蘭さんが。あまりの造形美に、面食い編集者・三浦は「は、はじめまして!」と驚きが隠せない様子。男性の筆者と西脇も亜蘭さんのイケメンっぷりに思わず心が動いてしまった。そして低くてセクシーな声に、3人はすでに癒やされ始める。

最初に亜蘭さんの身の上話を30分ほど聞き、あまりに波乱万丈な出自を聞いて思わず切ない気持ちに。「実は父とは会ったことがないんです」と、小さい頃に死別したお父様との思い出を聞いて、筆者はもうこの時点で涙があふれそうになっていた。

実はイケメソになれる条件の1つに、「泣ける過去を持っている」という項目があるという。「辛い過去を乗り越えたからこそ今の亜蘭さんがいるんだな」と感慨深くなり、「実は僕も…」と自然に自分の話もできてしまう。イケメソの人生に共感しながら、自分の身の上も赤裸々に話すことができるのもストレス解消ポイントだ。

ファゴットを見せてくれる亜蘭さん。セラピーの最後に演奏してくれるという


意地を張っても無駄!?筆者、無事号泣

亜蘭さんの話が終わった後は「泣ける動画」4本立てを鑑賞。1作品5分ほどの短い作品なのだが、どの作品も人それぞれの泣きツボをしっかりと押さえていて、うるっときてしまうものばかり。今回観たのは「結婚式」「死」「動物」「人生」の4つをテーマにした作品。セラピーを受ける人によって作品やテーマを変えるそうで、今回は我々3人の泣きツボにハマりそうな4つが選出されていた。

筆者は寺井さんに「すぐ泣けそうですね」と言われたこともあり、「泣いてたまるか!」と少し意地になりながらも動画を鑑賞していたが、2番目の「死」をテーマにした作品で涙がボロボロ。少し前に身内を亡くしたこともあり、見事ツボに入ってしまったようだ。

事前に「泣くのが難しい」と診断されていた三浦と、“自称泣かない男”西脇は、泣きはしなかったものの「心が浄化された気分」「ゆっくりこういう時間を設けること自体久しぶりで癒やされた」と話す。忙しい日々を送っているとなかなか映画やドラマなどにも没頭できないが、このセラピーではじっくりストーリーに浸ることができるため、泣けても泣けなくても心がじんわり温かくなることができる。

動画を観終わると、「何度観ても泣いてしまうんですよね」と誰よりも早く涙を流していた亜蘭さん。「女性の涙は武器」とはよく言ったものだが、イケメンの涙も破壊力抜群だった。

イケメソによるアフターケアもすごかった

筆者がハンカチで涙を拭こうとすると、「ちょっと待ってください!」と亜蘭さんからストップがかかる。目をハンカチやティッシュで擦ると赤く腫れてしまうため、それを防ぐために目の近くでは拭かず、頬に伝った涙をぽんぽんと軽く拭くくらいがベターだとアドバイスを受けた。さすがは涙のプロ、アフターケアもバッチリだ。

イケメソに従って筆者も涙を流しっぱなしにしていると、亜蘭さんから「拭きましょうか?」と提案が。画面越しに筆者の頬をハンカチで拭ってくれた。紳士のような振る舞いに思わず胸キュン。これをされて恋に落ちない女性はいないのでは?と思うほどのイケメンっぷりに、同性ながらドキドキとときめいてしまった。

画面越しに伝わる「ポンポン」に、筆者の涙も見事に拭われた

画面越しに筆者(左上)の涙を拭いてくれる亜蘭さん。紳士的な振る舞いに思わずドキドキ


そして最後にファゴット演奏。今回奏でていただいたのは映画『もののけ姫』のラストシーンの曲『アシタカとサン』。ファゴットの穏やかな音色は、泣いてリフレッシュした心がさらに清らかになっていくようだった。そして楽器を吹く亜蘭さんの美しい横顔を見て、イケメン+楽器+涙の組み合わせは最強だということを思い知った。

ファゴットを演奏する亜蘭さん


今回セラピーを受けて学んだことは、「大人でも、泣くことは全然おかしいことじゃない」ということ。私たちは悲しいことがあってもつい泣くのを我慢しがちだが、それは逆に泣く機会がなくなり、ストレスが溜まっていく原因でもあった。感情のある私たち人間にとって泣ける機会に思う存分泣くことは、実は当たり前の行為なのではないだろうか、と改めて感じた。心のリフレッシュと同時に、“泣くこと”について考えさせられる貴重な体験だった。

「なんて絵になるんだ」と息をのむ筆者と西脇


世界中の人々の「心のデトックス」を目指して

2013年よりスタートしたイケメソ宅泣便の涙活サービスは、今年で9周年。2022年7月9日の「泣く(79)日」には、99周年を迎える銚子電鉄とコラボして泣き顔の美しさを競うコンテスト「ミス・ティアーズ ジャパン」が開催される。グランプリに輝くと、来年公開の映画に出られるチャンスもあるんだとか。泣き顔に自信のある人はぜひ応募してみてほしい。

現在は関東近郊の法人へは出張サービスを行っているが、それ以外の地域や個人ではオンラインでのセラピーが中心となっているイケメソ宅泣便。寺井さんは「イケメソ宅泣便と涙活を世界に広げて行きたい」と、アメリカのワシントンD.C.にも進出を実現させ、世界に涙を流すことの大切さを伝えるための第1歩を踏み出した。

泣けない・泣かないことは悪いことではない。しかし涙活をして心のデトックスをしてあげることで、明日もまたがんばれるかもしれない。嫌なことがあった時や梅雨でなんとなく憂鬱な時期などは、イケメソに頼ってみてはいかが。

取材・文=越前与


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