睡眠を改善すると、幸せホルモンも増加!?
――腸と睡眠の関係について伺ってきましたが、現在はどのような研究をされているのでしょうか?最新の研究結果などがあれば、教えてください。
【安藤】今月発表したばかりなのですが、日本睡眠科学研究所と、抗加齢医学研究の第一人者である米井嘉一先生(同志社大学 生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授)との共同研究により、睡眠を改善することで幸せホルモンの1つと言われる「オキシトシン」が増加することがわかりました。つまり、質の高い睡眠ができると、幸せを感じやすくなったり、幸せの感受性が高まったりすることがわかった、ということです。
――具体的な研究内容を教えてください。
【安藤】「オキシトシン」は、愛情ホルモン、絆ホルモンとも呼ばれ、他者への信頼感や共感力の向上、不安の緩和や心身リラックスなどの働きをしていると言われています。逆に、ストレスがあると分泌されにくくなるとも言われています。
今回は、軽度の睡眠障害を自覚する45歳〜65歳の男女12名を対象に、日常使用している寝具と[エアーSX]を使用して各7日間就寝し、それぞれ5〜7日目に睡眠の主観評価、心理検査、唾液中のオキシトシンの分泌量を検査しました。その結果、睡眠の質が改善し、特に女性において心身ストレスの軽減と就寝前の唾液中の「オキシトシン」の増加が見られたのです。

――「オキシトシン」を増やすと、どんないいことがあるのでしょうか?
【安藤】人への信頼感や共感力が高まったり、コミュニケーションがうまく取りやすくなったり、不安や心配が和らいだり…など、ポジティブな効果が期待されます。
――今後予定している研究テーマなどがあれば、教えてください。
【安藤】眠りの状態を知ったあとの解決方法を、より広く深く提案できるようにしていきたいですね。寝具だけでなく、お昼寝もそうですし、運動や食事など、トータルで対応できるようにしていきたく、それにはきちんとしたエビデンスが必要だと思いますので、(それらのことに関連した)研究を進めているところです。
今回の取材では、「腸と睡眠」の関係について詳しく聞いてみたが、安藤さんによると、質の高い睡眠には、ほかにもアンチエイジングや肌質改善、更年期症状・PMSの一部症状改善、糖尿病予防などさまざまな効果があるという。今一度「睡眠」を見直すことで、飲み過ぎ食べ過ぎで疲れた胃腸はもちろん、健康的な身体づくりへの第一歩となりそうだ。
※本記事内で紹介した研究結果は個人差があり、すべての人に効果を保証するものではありません。
取材・文=矢野 凪紗