日本海に浮かぶ自然豊かな新潟県・佐渡島。注目されるのは世界文化遺産に推薦されている「佐渡島(さど)の金山」だ。島内には多くの金銀山があり、主なものを総称して「佐渡金銀山」と呼ばれる。世界遺産に推薦されている「佐渡島の金山」は、「西三川砂金山」と「相川鶴子(あいかわつるし)金銀山」で構成されている。世界遺産に登録されると観光客がどっと増えることが予想されるので、旅をするなら登録前の今がおすすめ。初めての佐渡島でぜひ訪れてほしい金銀山の魅力やグルメスポットをお届けしよう。
新潟港からジェットフォイルで67分
佐渡島へは、佐渡汽船が運航するジェットフォイル(新潟港~両津港)またはカーフェリー(新潟港~両津港)で行ける。上越新幹線・新潟駅から向かうなら新潟港が便利だ(佐渡島へのもうひとつの航路・直江津港~小木港は冬期運休後、カーフェリーが運航予定)。手を振る船員に見送られて日本海に出ると、船体が海面に浮上してすべるように進むジェットフォイルなら片道67分で島に到着。
島内で自家用車を利用するならカーフェリーで2時間半ののんびりした船旅を。島内は港のある両津のほか、国中、南佐渡、相川エリアに大別され、東京23区の1.4倍もある大きな島なので、島内の移動は自由が利く自家用車かレンタカーが便利だ。ほかにタクシー、バス、レンタサイクルもある。
まずは「佐渡島の金山」のすごさをたっぷり体感
佐渡島の金山の歴史は平安時代からと古く、江戸時代までは手工業によって金の生産が行われていた。明治以降は技術・設備ともに近代化されたが、佐渡島には当時の手工業の様子を色濃く残す遺構が多くある。佐渡島の金山を知るうえで訪れたい3つのスポットを紹介する。
佐渡金銀山をエンタメ的に学ぶ「きらりうむ佐渡」
まずは相川エリアにあるガイダンス施設「きらりうむ佐渡」を訪れたい。ここでは島内の金銀山の歴史から、「西三川砂金山」「相川鶴子金銀山」などを4つのシアターで分かりやすく紹介してくれるので理解が深まり、実際に金銀山を訪れたときの楽しさが倍増するはずだ。
シアターは金銀山が最も栄えた江戸時代から始まり、砂金と金鉱石それぞれの採取方法の違いや島で行われた小判作り、そして明治以降の近代鉱山の様子までをダイナミックな映像で紹介してくれる。面白いのが、映像では島民たちが当時の採掘の様子を再現していること。金銀山で働いた人たちの子孫たちだと思うと感慨深い。
また動画の合間に見られる展示物にも、壁のところどころにのぞき穴があったり、坑道を立体的にみられたり…と、仕掛けがいっぱいだ。
実際の坑道を探検!「史跡 佐渡金山」
きらりうむ佐渡で理解を深めたら、そこから山道を車で10分ほど上っていくと現れる、「史跡 佐渡金山」へ。最も広大な金銀山「相川金銀山」の一部を一般公開している。
実際の坑道を歩くコースがいくつかあるが、そのうちのひとつ、採掘・選鉱・製錬から小判製造までの工程が描かれた「佐渡金銀山絵巻」の採掘作業を、人形を使って忠実に再現した「宗太夫坑」コースを紹介しよう。
この坑道は江戸時代に手作業で掘り進められたもの。暗い階段を下りて進んでいくと、金鉱石を掘る様子、染み出る水を排出する様子、坑夫たちの坑道内での休憩の様子など、当時のさまざまなシーンが人形で再現されている。
しかもこの人形たち、動いたりしゃべったりしてめちゃくちゃリアルで、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。所要時間30分ほどがあっという間に感じるほど見ごたえたっぷりだ。
ほか、「道遊坑」コースでは明治から平成元年の操業休止まで使用された坑道、トロッコなどを保存展示。ルートの最後に坑道から外へ出ると相川金銀山のシンボル「道遊(どうゆう)の割戸」が目の前に現れるのも見もの。このコースはMRを駆使したウォークスルー型アトラクション「アイランド・ミラージュ」(要予約)も体験できる。専用端末とMRグラスを装着して宝石を集めながら坑道を進むので子供も十分に楽しめる。
また、ヘルメットとライトを頼りに探検気分で真っ暗な坑道を巡ることができる「山師ツアー」(上級者向け・中学生以上)など要予約のガイド付きコースもあるので、興味や時間に合わせて楽しもう。