【SDGs】販売終了した下着をニジェール共和国へ寄付する加藤貿易「商品を最後まで無駄にしない」

2021年7月18日

ニジェールへの商品寄付。販売終了商品といってもざまざまなデザインが送られた

世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への関心が高まるなか、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、その具体的な内容を知る機会は少ない。そこで今回、食品やアパレルなどで、ユニークなオリジナル商品を企画・発信・販売する加藤貿易の広報担当・王麗華さんにインタビューを実施。SDGsをはじめた経緯や、取り組み事例について聞いた。

SDGsってなに?


SDGsは、国連に加盟する全ての国が、2030年までに持続可能で、より良い世界を目指すための国際目標。「誰一人取り残されない(leave no one behind)」社会の実現を目指し、「貧困」「飢餓」「健康と福祉」などをテーマにした17の目標と169のターゲットで構成されている。

ボクサーパンツがニジェールへ!加藤貿易が取り組む目標


――加藤貿易は、200種類以上のデザインを持つデザインアンダーウェアブランド「DARK SHINY(ダークシャイニー)」を展開されていますが、SDGs達成のためにどういった活動を行っているのでしょうか。

【王麗華さん】「DARK SHINY」は、常に新しいデザインが登場すると同時に、販売終了となるデザインもあります。その販売終了と決まったデザインのなかで一定期間が過ぎたものについては、廃棄処分とするのではなく、寄付という形で、商品を最後まで無駄にすることなく大切に送り出しています。

【写真】ニジェールへの商品寄付。DARK SHINY(ダークシャイニー)のボクサーパンツが現地の人に手渡されている様子


――なぜそのような取り組みを始めたのでしょうか?

【王麗華さん】これは、社会貢献活動を積極的に推進している当社の取り組みのなかの1つで、事業に関連した寄付活動です。「商品を必要としている方に届けたい」という思いと、在日ニジェール共和国名誉領事であるイロ・カザ・イブラヒムさんの「貧困が大きな問題となっているニジェールのために活動をしたい」という思いが重なり、ニジェールに「DARK SHINY」のボクサーパンツなどをお送りしました。2020年1月に始めたこの取り組みが目指すゴールは以下の3つが当てはまります。

<加藤貿易の3つの目標>
【1】貧困をなくそう
【10】人や国の不平等をなくそう
【16】平和と公正をすべての人に


――ボクサーパンツをニジェールへ送った取り組みのほかにも、SDGsの取り組みを実践されていますか?

ニジェールへの商品寄付。販売が終了したというだけで、どれも新品そのもの


【王麗華さん】子供たちが1人でも多く笑顔になれるようにと、アフリカの元子供兵(少年兵)の社会復帰支援活動に対する寄付を行っています。また、“社員一人ひとりが心身の健康を維持しながら、いきいきと働くことができる環境づくり”を目指し、その一環として、社員の誕生日に、社長が誕生日プレゼントを贈っています。プレゼント内容は一律ではなく、社員一人ひとりが“今何に興味を持っているのか”をリサーチしたうえで、社長自らプレゼント選びをしています。

コロナ禍で外食を控えるようになり、家での食事を楽しめるようなアイテムをちょっとずつ増やしているという社員の誕生日には、ホットサンドメーカーがプレゼントされた

チーズが好きな社員にはチーズの詰め合わせがプレゼント


社員一人ひとりが「いきいきと働く」ことができる環境づくりも


その他、在宅勤務がメインとなっている加藤貿易では、社員同士で気軽にコミュニケーションを取ったり、他部署の動きを見えやすくするためにバーチャルオフィスを利用しています。これも、“社員一人ひとりが心身の健康を維持しながら、いきいきと働くことができる環境づくり”の一環です。

在宅勤務がメインになってもコミュニケーションが不足しないよう、バーチャルオフィスを導入。現在は福岡在住の社員も毎日バーチャルオフィスに出社している


――SDGsを実践してどのような反響がありましたか?

【王麗華さん】ブログや、Instagram、TwitterといったSNSで取り組みについて紹介したことで、多くのユーザーに取り組みを知っていただくことができました。また、在日ニジェール共和国名誉領事イロ・カザ・イブラヒムさんからは、「世界最貧国の一つであるニジェールにとって、このような援助(協力)はとてもありがたいし、いくらあっても困らない」というお言葉をいただきました。

小さな積み重ねを広げて“大きな変化”へとつなげたい


――SDGsの実践は社内に変化を与えましたか?

【王麗華さん】企画やデザイン、製造、営業、EC販売など商品販売には多くの部署、そしてスタッフが関わっています。そのため、販売終了となったデザインについても愛着があるため、廃棄処分ではなく寄付という形で必要としている人の手に届く(しかも地球の裏側まで!)のは本当にうれしいことです。寄付先で手に取っていただいている写真を社内で共有することで、自分たちの商品が世の中に必要とされていることをさらに実感することができました。

――SDGsの取り組みの先に目指す社会は?

【王麗華さん】私たちの取り組みは地球全体で見れば本当に小さなアクションに過ぎません。ですが、このような小さな積み重ねが広がっていくことで、大きな変化へとつながっていくと信じており、その先にある平和で包括的な社会の実現を目指しています。