【SDGs】平時はビジネスホテル、有事にはレスキューホテルに早変わり!“コンテナホテルで災害に備える”デベロップの想い

2021年8月5日

<レスキューホテル事業>有事の際はレスキューホテルとして出動。

世界的にSDGs(エス・ディー・ジーズ/持続可能な開発目標)への関心が高まるなか、各企業でもさまざまな取り組みが行われているが、具体的にはどのようなことが行われているのだろうか?今回は、建築業の「デベロップ」広報担当者にインタビューを実施。SDGsへの取り組み事例を聞いた。

SDGsってなに?


SDGsは、国連に加盟する全ての国が、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標。持続可能な世界を実現するため、「貧困」「飢餓」「健康と福祉」などをテーマにした17の目標と169のターゲットで構成。アジェンダでは、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。


デベロップが取り組む目標


――SDGsの取り組みを始めた経緯を教えてください。

【広報担当者】コンテナ型モジュール建築のリーディングカンパニーとして持続性・効率性・環境配慮性を備えた先進的な事業モデルを展開する中で、2011年の東日本大震災時の被災地支援で大きな事業着想を得ました。コンテナ型備蓄倉庫の建設で訪れた南三陸町にて、生活に大きな負担を強いられている状況を多くの避難所で目にするにつれ、発災後に安心安全なプライベート空間を迅速かつ簡便に提供したい想いが募り、できる手法はないか考え抜いた結果辿りついたのがレスキューホテルです。さらに、コンテナ型モジュール建築のフレキシビリティを利用し、復興従事者用宿泊施設で利用されたコンテナを移設・再利用するなど、SDGsの取り組みとして以下のことを実践しています。

【画像】<レスキューホテル事業>平時にはホテルとして運営される客室を、災害など有事の際に被災地にすみやかに移設することが可能。写真は「平時」の『HOTEL R9 The Yard 阿見』外観


<デベロップの3つの目標>
【9】産業と技術革新の基盤をつくろう
【11】住み続けられるまちづくりを
【12】つくる責任 つかう責任

デベロップの取り組み


――デベロップは、“コンパクトで快適な客室を備えた新型コンテナホテル”として「HOTEL R9 The Yard(ホテルアールナイン ザ ヤード) 」シリーズを2018年より全国で展開されていますが、このホテルにはどのような特徴がありますか?

【広報担当者】コンテナ建築のリーディングカンパニーとして、平時はビジネスホテル、有事にはレスキューホテルに早変わりするコンテナホテルを全国で展開しています。

「HOTEL R9 The Yard」シリーズは、コンテナ1台を1客室とすることで、独立した客室は遮音性も優れ、三密を回避することができます。広さ13平方メートルの室内にはシモンズ製ベッドや電子レンジ、冷凍冷蔵庫、マッサージチェア、ユニットバスなどを完備。ホテルとしても快適な滞在を実現します。

また、災害発生時には24時間以内を目標に被災地へ駆け付け避難所などとしてご利用いただくことが可能なレスキューホテルの役割を担う「動くホテル」です。

――SDGsはどう実践しているのでしょうか?

1. 「あらゆる災害に備えられる、多目的コンテナ」
【広報担当者】自治体の強靭なまちづくりへの整備計画・開発に貢献します。また、建築用コンテナモジュールが持つ柔軟性などの特性を生かし、多様なニーズに対応可能であるため、災害時の住宅確保にも活用します。さらには、学校の校庭や、病院の側に客室を移動させ、仮設所や関係者の拠点として利用ができるなど、地域防災にも貢献する新しい社会インフラとしても活用が可能となりました。

2. 「復興インフラとして自治体の負担を軽減」
【広報担当者】復興インフラとしても活用されるレスキューホテル「HOTEL R9 The Yard」シリーズの普及により、各自治体などにおける復興インフラの「保有」から「必要時に利用するのみ」と、大幅に負担の軽減を実現。資産・資源の有効活用が可能になります。

3. 「短工期の建築による地球へのメリット」
【広報担当者】独自の建築工法で開発された建築用コンテナモジュールと、各目的に応じた付属設備を組み合わせた建築ユニットの普及により、短工期で高い生産性の確保、移設・増設・再利用が可能な次世代型建築を実現します。

仮設住宅を建設するよりもはるかに短い工期で、被災者、建築労働従事者の負担軽減にも寄与します。復興従事者の宿泊施設として宮城県石巻市に建設され、役目を終えた建築用コンテナモジュールは、栃木県佐野市に移設しました。現在は“施設再利用”の1例目として、カフェを併設したビジネスホテルを運営しています。

コンテナ型モジュール建築事業の実例紹介:東日本大震災復興従事者用宿泊施設として利用

栃木県佐野市に移設し『HOTEL R9 SANOFUJIOKA』としてリニューアルオープン


新型コロナ感染対策に従事する関係者の休憩所にも活用


――SDGsを実践してどのような反響がありましたか?

【広報担当者】長崎のクルーズ船内で新型コロナウイルスの集団感染があった際に、医療従事者及び厚労省災害派遣医療チーム(DMAT)の休憩所として出動要請を受けました。また、これを皮切りに、現在は、PCR検査施設として都内民間病院へ出動中です。さらに、東京都千代田区と三鷹市にて、新型コロナ感染対策に従事する関係者の休憩所にも活用されるなど、国や地方自治体、民間病院など多方面より反響をいただいています。

――SDGsの実践は社内に変化を与えましたか?

【広報担当者】当社は、元来、公共事業ともいうべき「レスキューホテル」や「エネルギー事業」、「子育て支援事業」などを行っている会社です。「SDGs事業認定」を受け、さらにその意識が高まったことに加え、今後の目標達成に向けて、各スタッフ同士はもとより、経営層も含めた会社全体の連帯意識が深まるなど、多くの変化をもたらしました。これを機に、当社の考えに共感いただいた全国の優秀な人財が集まってくるものと期待を寄せています。

SDGs事業認定証


北関東から全国へ!より迅速な出動に向けて


――SDGsの取り組みの先に目指す社会はどんな社会でしょうか?

【広報担当者】レスキューホテルの出動拠点を、早期に全国展開致します。よって、災害発生時に、何処でも迅速に被災地へ駆けつけることが可能となり、より災害に強い「強靭(レジリエント)なまちづくり」を目指します。

なお、高い耐久性と汎用性があるコンテナモジュールないし建築ユニットは、リユース及び用途変更が一般建築物と比較して容易です。さらには、撤去や解撤をする際にも、原則として、大部分のリサイクルが可能である為、廃棄物発生の削減に繋がり、環境に優しい社会作りに貢献できるものと考えています。