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アメリカを発祥とし、49年にわたって日本国内にアイスクリーム専門店を展開するサーティワン アイスクリーム。グループ全体では世界55カ国に食を通して、美味しく、楽しい、そしてホスピタリティに満ちた空間を提供し続けているメーカーである。
このサーティワン アイスクリームでもSDGsは複数実現しているというが、「アイスクリーム」という商材の背景に、どんな取り組みを行っているのだろうか。今回はB-R サーティワン アイスクリーム株式会社執行役員 マーケティング本部長の若林翌さん、CEO OFFICE室長の角田修二さんに話を聞いた。
“We make people happy”がモットー
――まずサーティワン アイスクリームのこれまでの変遷を教えてください。
【若林翌さん(以下、若林)】弊社はアメリカから来たアイスクリームチェーンで、2023年で50周年を迎えます。日本では前例のない業態だったこともあり、「アイスクリームだけでやっていけるのか」と当初は不安視される声もあったと聞いています。そんななかで、これだけの長きに渡って続けられたことはお客さまの支えがあったからこそだと思っています。
また、我々の企業としてのモットーは“We make people happy”というものです。言い換えますと、アイスクリームという食文化を通し、お客さまに幸せをお届けしたいという理念です。これまでに1300を超えるさまざまなアイスクリームをご提供し、いろんな世代の方に楽しんでいただけるよう努力をしてまいりました。
【角田修二さん(以下、角田)】アイスクリームという商材を扱っていますが、業種の区別としては「食品企業」で、その中でも「外食企業」ということになります。外食企業の場合、店舗での「食品残渣(食品ロス)」というものが環境面ではよく取り沙汰されるのですが、弊社では基本的に「食品残渣」というものがほぼありません。「アイスクリームには消費期限がない」ということがあるからです。弊社では「一定期間を過ぎたものは廃棄する」という独自のルールを定めているものの、全てその期限内に販売し終えてしまうわけです。
では「絶対に食品残渣がないのか」と言うと、そういうわけではなく、例えばサンデーを作る際のバナナの皮、一部店舗で実施しているクレープ商材の試し焼きなどはどうしても出てしまいます。しかし、本当にこの程度で、企業規模感から言うと「極めて食品ロスが少ない」というのが弊社の特徴です。
また環境面で言うと、これまでは容器などにプラスチックを採用していました。アイスクリームは結構硬いものですので、プラスチックに替わる素材と言うと、かなり限られてしまい、例えばアイスクリームを食べる際のスプーンなどは代替素材が見つかっていないのも現状です。
ただし、プラスチック製だった持ち帰り商品のバラエティバックを、紙カップを使ったバラエティボックスに変更し、環境面を意識した取り組みも行っています。まだまだ超えなければいけない課題も確かにありますが、環境面にはかなり意識して取り組んでいる企業だと自負しています。
――環境面の取り組みを行うと、逆にコストが上がってしまう……なんていう話もよく聞きます。前述の紙パックの場合はどうだったのでしょうか。
【若林】正直、パッケージの原料コストとしては上がっています。ただし、お客様の使いやすさや環境面を考えれば、当然企業として取り組むべきことだと思っています。
サーティワン アイスクリームの工場における環境面での取り組みとは?
――サーティワン アイスクリームは富士小山工場、神戸三木工場の2拠点の工場でアイスクリームを生産し、全国に配送していると聞いています。こういった生産時の環境面での取り組みについて聞かせください。
【角田】先ほど、「食品残渣」の話をしましたが、工場のほうでもどうしても「食品残渣」が出てしまうことがありました。アイスクリームを作る行程で、例えばポッピングシャワーの素材を機械に通すと、その後、別のフレーバーと混ざってはいけませんから一回一回綺麗に洗浄しています。そういった際、素材を機械に通す際の「最初」と、洗浄する際の「最後」にはどうしても「食品残渣」が出てしまいます。こういったものは飼料化、肥料化して、できるだけロスが出ないよう適性に処理しています。
――サーティワン アイスクリームの「残渣」によって農作物・植物が育ったり、動物が育っていると思うと、なんだかほっこりします。
【若林】実際にどの農場さん、農家さん、畜産業者さんで使われているかは公表していないですが、処理業者さんに委託をして、そのような二次利用を行っています。
【角田】また、富士小山工場は45年という長い歴史がある一方、使っている機械の中には古いものもあるため、高効率化のものに毎年交換を行っています。一方の神戸三木工場のほうは最新鋭の機械を使っておりインバーターも含め、高効率の工場になっています。これらのことで電力・ガスの使用量を年々削減し、CO2の排出を削減するよう取り組んでおります。