世界で毎秒6000杯が飲まれている『ネスカフェ』が新コンセプト“Make your world”に込めた想い。いつもの一杯が、サステナブルな未来への一杯に

2023年8月31日

一杯のコーヒーで始まるサステナブルな未来。『ネスカフェ』の新たなビジョン

ーーパッケージの刷新について、以前のパッケージからどう変化したのでしょうか?その狙いについても教えてください。
【中西弘明】『ネスカフェ ゴールドブレンド』は、より暮らしになじむパッケージデザインになりました。家のキッチンに置いたときに悪目立ちしないというか、よりしっかりと生活になじむようになっています。ただ、店頭ではもちろん目立ったほうがいいので、店頭で目立ちつつ、家ではなじむようにデザインの両立を図りました。そして、“Make your world”のサステナブルな取り組みをしっかり伝えたいという想いで、パッケージ裏面に大きなサイズでこのメッセージを掲載しています。

ーーパッケージ裏にこうした情報を記したのは初の試みですか?
【中西弘明】これまでも環境への取り組みを紹介することには注力していましたが、ここまで大々的にブランドパッケージに大きく表現したのは今回が初めてです。さらに、しっかり読み込んでいただくためにWebコンテンツも作成しています。膨大な量の情報をきちんとわかりやすくお伝えするために、10月の公開に向けて準備を進めています。

それぞれの商品のパッケージ裏で、“Make your world”のコミュニケーションを紹介。消費者に『ネスカフェ』の取り組みが直接届くように工夫されている【撮影=阿部昌也】


ーーラベルデザインも、昔と比べてスタイリッシュになりましたね。
【中西弘明】ありがとうございます。ラベルにも細かいこだわりが隠されているんですよ。よく見ていただくとわかると思いますが、ラベルにヘアライン加工を施し、線を入れることで輝きを抑えて質感が高められているんです。これがないと、折り紙の金のようにキラキラ輝く紙になってしまうんですね。このひと工夫によって、店頭でも家庭でもなじむ金色が実現できました。それから、ロゴの部分にエンボス加工を採用しています。『ネスカフェ』の文字がちょっと飛び出しているんです。

ーー本当だ。ディテールまでこだわっていますね。
【中西弘明】触らないと気づかないレベルなんですが、直感的に上質さを感じさせる部分としてすごく重要なポイントなんです。ラベル面のデザインにもさまざまな工夫が詰まっています。さらに、リサイクルする際にもうれしいポイントがあるんですよ。以前のラベルは、剥がし残しが白く残ってしまうことがあり、ビンから剥がしにくかったですよね。それが、端からペリペリと心地よく綺麗に剥がれるように進化しました。

ーーストレスフリーで、これはありがたいですね。
【中西弘明】日常の小さなストレスをできる限り少なくしていくことも、小さなことかもしれませんが、我々にとっての大切な取り組みです。

ーー国内でのコーヒー栽培を推進する活動についても教えてください。
【中西弘明】ネスレ日本では、2019年から、元サッカー日本代表の髙原直泰さんが率いるスポーツクラブ・沖縄SVとタッグを組み、国産コーヒーの特産品化を目指す“ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト”を進めています。弊社からは、沖縄在住の農学者である社員を常駐させ、スイス本社や世界各国にいるネスレの農学者と連携しながら、再生農業の考えに基づいたコーヒー栽培の普及に取り組んでいます。

【写真】沖縄でのコーヒー栽培にも力をいれる、元サッカー日本代表の髙原直泰さん

沖縄SVのコーヒーファーム


【中西弘明】“コーヒーベルト”と呼ばれる、コーヒーの栽培に適したエリアがあるのをご存知ですか?北緯と南緯それぞれ25度と言われているのですが、ちょうど沖縄県の位置が北緯26度とギリギリなんですよ。そこでコーヒーの育成ができるか、というチャレンジをしているんです。この活動によって沖縄の耕作放棄地の増加問題や、農家の後継者不足の解決にも貢献できると考えています。高齢化は沖縄でも進んでいる社会課題ですし、あらためて特産品としてコーヒーを栽培できないかと沖縄で始まったプロジェクトになっています。

【中西弘明】当初は、名護市と琉球大学と連携していましたが、2020年には沖縄県立北部農林高等学校、2022年からは沖縄県うるま市とも連携し、取り組みを加速しています。おかげで、2022年の冬から今年の春にかけて初収穫することができました。きっと、いつかみなさんのお口に届けられるようになると思います。

「おいしいコーヒーが楽しめる未来を、“Make your world“を通して消費者の皆さんと一緒に築き上げたい」と、将来の展望を熱く語る中西さん【撮影=阿部昌也】


ーー“ネスカフェ プラン 2030”をはじめ、コーヒー栽培のさまざまな課題解決を目指したサステナブルな取り組みについてあらためて知ることができました。最後に、今後の事業展開やビジョンなど、貴社が思い描く未来について教えていただけますか?
【中西弘明】これまで『ネスカフェ』として、“ネスカフェ プラン”を投じたりすることで、サステナビリティのアクションを常に行ってきました。今後は、より消費者の方を巻き込んで、一緒にサステナビリティを進めていきたいという想いがあります。“Make your world”という新しいコミュニケーションを実施していきますので、この10月からは、しっかり“Make your world“と“そのコーヒーは、あなたをちょっとだけヒーローにする。”というコミュニケーションに落とし込んで、おいしいコーヒーが楽しめる未来を、一緒につくっていけたらなと思っています。

【中西弘明】ただ、最初から大きな世界の話をするとちょっと戸惑われると思うので、「身近な一杯のコーヒーを楽しむところから、サステナブルな未来が始まる」というところを、きちんとコミュニケーションで伝えていきたいと考えています。そこで我々は、“Make your world”の「ワールド」を3つに分けて考えるようにしました。まずは、「MY WORLD」。一杯のコーヒーを楽しみながら、ホッとしたり、気分があがったり、前向きな気持ちになれる。そして第2段階が「OUR WORLD」。コーヒーを通じて会話が生まれ、人と人とをつなぐきっかけになってゆく。最後の第3段階が「THE WORLD」。最終的にグローバル規模で地球環境への貢献へとつなげてゆく。これが私たちが思い描く未来です。

この記事のひときわ #やくにたつ
・文化を浸透させるプロモーションを設計する<br />・未来を見据えた事業戦略を立てる<br />・ユーザーを巻き込むコミュニケーションを図る

取材=浅野祐介、取材・文=北村康行、撮影=阿部昌也

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