博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2023」を実施。SDGs認知率は5割超、“サーキュラー”な行動は若年層を中心に拡大傾向

2023年10月4日

サステナブル商品に対するイメージ

【画像】「サステナブルな商品」についてイメージする形容詞は?

「サステナブルな商品」についてイメージする形容詞を選んでもらったところ、最も多かったのは「自然な」で33.7%。「サステナブル=自然環境の保護」と捉えている人が多いことがうかがえる。続いて多かったのが「優しい」(24.7%)。「地球環境に優しい」「人に優しい」といった表現がよく使われることが影響しているとみられる。

「すべての人に関係がある」(20.9%)、「グローバルな」(20.2%)がいずれも2割程度に。SDGsの認知や理解が進むなか、SDGsでうたわれている「誰一人取り残さない」というメッセージや、国際的な取り組みであることが意識されているようだ。

今回の調査について、「博報堂SDGsプロジェクト」の亀田知代子さんに話を聞いた。

「(今回の調査の狙いは?)日本の生活者が購買行動においてどの程度サステナビリティを意識しているのかを定量的に把握するために毎年行っている調査です。欧米を中心に世界を見渡すとサステナブルな購買行動がかなり浸透してきているのですが、日本市場でもこれからこうしたサステナブル購買が広がる可能性があるのではないか?と考えて、2019年からほぼ毎年実施しています」

「(今回の調査結果の注目ポイントは?)ここ数年で、SDGs認知は急速に拡大してきましたが、生活者の購買行動においてもサステナビリティを意識する層が広がってきており、いよいよ『知る・学ぶ』だけでなく、『行動する・実践する』の域に入ってきたのではないかと感じています。具体的には、買い物の際の環境・社会意識度を10点満点で聞いた質問で、その平均値が毎年じわじわと上がってきており、今年4.98点で過去最高値となりました。今までサステナブル購買をけん引していたシニア層だけでなく、若い世代でもサステナブル購買が広がりつつあります」

「(10代にSDGs認知率が高い要因は?)私たちはよくこの世代のことを『サステナブル・ネイティブ』と呼んでいますが、10代は小さいころから学校教育のなかで『SDGs』を学ぶ機会が多いことが一番の要因だろうと思います。また、普段からSNSなどで情報収集をするなかで、海外発のサステナビリティに関する投稿や情報に触れる機会が多いことなども要因のひとつではないでしょうか」

「(サステナブル購買の今後の動向は?)2019年調査時から、ミニマル(最小限)、ロングライフ(長期的)、サーキュラー(循環)という3つの傾向が見られており、以後の調査でもその特徴は変わっていません。『不要なものは買わず、買ったものは長く使い、いらなくなったものは誰かに譲る』という『もったいない』意識をベースにした行動が特徴です。今後もこの傾向は続くと思われ、特に若年層を中心に行われている『サーキュラー』な行動は、若者世代が成長し、社会の中心となるにつれてさらに広がりを見せていくでしょう。また時系列でみても『買物をする際、その商品が環境や社会に与える影響を意識する』度合いは上昇傾向であり、これからも購買行動全般において、サステナビリティを意識する度合いは強くなっていくだろうと考えています」

「(ユーザーへのメッセージは?)『日本でサステナブルな商品は本当に売れるのか?』という質問を受けることがあるのですが、今回の調査結果を分析するなかで、いよいよその兆しが見えてきたのではないかなと思っています。SDGsで掲げられている目標は、一人ひとりや一社だけでは解決できないような大きな課題ですが、生活者や自治体、他社などさまざまなステークホルダーを巻き込んで大きなうねりを作っていき、企業の経済インパクトと社会インパクトを同時に生み出す『ダブルインパクト』を目指したいと考えています。サステナブルな商品の選択肢が増え、生活者がそれらを積極的に選ぶことで、サステナブルな未来につながる。クライアント企業や生活者と一緒に、そんな大きな流れを生み出すお手伝いができれば幸いです」

■「博報堂SDGsプロジェクト」とは
SDGsの視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト。マーケティング・ブランディング、PR、ビジネス開発、研究開発、クリエイティブなど、SDGsに関する経験と専門性を持つ社員で編成。次世代の経営のテーマとなる、企業の経済インパクトと社会的インパクトの統合に資するソリューション開発や経営支援、事業開発支援、マーケティング支援などを行う。

<調査概要>
2023年調査
○調査手法:インターネット調査
○対象者:16~79歳の男女5156名 ※直近2~3カ月に食品・飲料・日用品・衣料品などを購入した人
※分析時は人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。数値はWB後を使用
○対象地域:全国
○調査時期:2023年2月27日~28日
○調査機関:株式会社H.M.マーケティングリサーチ

2022年調査
○対象者:16~79歳の男女5158名 ※直近2~3カ月に食品・飲料・日用品・衣料品などを購入した人
○調査時期:2022年3月18日~19日

2021年調査
○対象者:16~69歳の男女4125名 ※直近2~3カ月に食品・飲料・日用品・衣料品などを購入した人
○調査時期:2021年1月4日~7日

2019年調査
○対象者:20~69歳の男女6000名 ※直近2~3カ月に食品・飲料・日用品を購入した人
○調査時期:2019年3月14日~20日

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