「誰もが健康で心豊かに安心してくらし続けられるまちづくり」をめざしてコープあいちが取り組む、フードロス削減とエシカルチャレンジ

2023年12月13日

「あいちの新しい生協づくり」としてみかわ市民生協とめいきん生協が合併し、2010年に誕生したコープあいち。現在は県内7ブロックのエリアに56万人以上(2023年11月時点)の組合員を有し、食品や生活用品の宅配および店舗事業を軸に、地域とのつながりを深め、誰もが健康で心豊かに安心してくらし続けられるまちづくりを推進している。SDGsも積極的に展開、その中のフードバンクとエシカルチャレンジについて、特別商品部、組合員活動支援部次長の久保田孝さんに話を聞いた。

名古屋市内にある生活協同組合コープあいち本部


コープあいちは合併以前から公害や食の問題、またレジ袋持参運動など多様な現在のSDGsにつながる活動を実践してきた。こうした背景をもとに、2018年に「コープあいちSDGs行動宣言」を決定。つくる責任とつかう責任の好循環や、世代を超えた人々がお互いを思いやり、共生できる社会をめざしてさまざまな活動を行っている。

そのひとつが、「フードバンク」の取り組みだ。きっかけは生活困窮者への食品支援を行う認定NPO法人セカンドハーベスト名古屋からの申し出だ。「2015年に、セカンドハーベスト名古屋の当時の理事長から手紙をいただきました」と話す久保田さん。「私どもは東海コープとしてコープあいち、ぎふ、みえの3つの生協の利用者ごとの商品をセットセンターで仕分けしています。そこで処分する在庫品の提供をすることになりました。食品メーカーからの支援は、どうしても商品の種類が偏りがちですが、私どもは各アイテムの在庫数は少数でも毎回数十アイテムの在庫ができ、バリエーションに富んだ商品を提供することができます。セカンドハーベスト名古屋としては、食べてもらう方々に少しでもバラエティ豊かな食品を提供したいという考えがあり、お互いの思いが一致してフードバンクが始まりました」

2015年、セカンドハーベスト名古屋への商品引き渡し式が行われた


当初は賞味期限が長いドライ食品(常温品)の提供からスタート。その後、在庫品の受け取り時間の調整などを試行錯誤し、現在は冷凍食品、青果、パンなど多彩な食品を提供し続けている。「宅配ではもともと組合員の注文が入ってから商品を仕入れるので今までもそれほどロスは出ていませんでしたが、フードバンクを始めてからは、こうしたロスがより一層削減されています」と久保田さん。昨年度は東海コープとして76トンもの食品を寄付。「これまでは食品ロス=廃棄でしたが、フードバンクを展開することで廃棄を減らすだけではなく地域貢献にもつながっていると実感しています」と笑顔を見せる。

セカンドハーベスト名古屋のスタッフとともに商品を仕分け

多種多様な食品を提供し、利用者にも喜ばれている


またコープあいちではこうしたフードバンクだけではなく、「生活協同組合は、組合員が利用者であり出資者、運営者であることが特徴ですので、組合員が普段の暮らしで実践できるSDGsを特に重視しています」と久保田さんは話し、一人ひとりのSDGsへの意識を高める活動にも積極的に取り組んでいる。その一例として2020年から行っているのがチラシやネットで展開する「エシカルチャレンジ」だ。組合員が、環境に配慮したマークの付いた商品を購入したり、プラスチック削減やリサイクルチャレンジの実践などを行い、実践した人にはコープからプレゼントが贈呈される。

「エシカルチャレンジ」は年に3回程度行われるが、今年の第1回目は参加者が6000人を超える反響を呼んだ。「毎回、組合員の方々の声をいただき、それを次のエシカルチャレンジに反映しています。組合員だけではなく、職員のSDGsに対する意識向上にもつながっていると感じています」と久保田さんはいう。

【画像】コープあいちが取り組む「エシカルチャレンジ」のチラシ


コープあいちではほかにも自然との共生社会の実現および生物多様性の保護に向けて、稲作体験や生き物観察など自然環境に対する学びや体験を行っている。「西三河生態系ネットワークに参加し、あいちの森づくりにも取り組んでいます」と久保田さん。

コープあいちは今後も、事業では利用を通じたSDGs達成貢献を引き続き幅広く追求し、地球環境への負荷を減らすことができる商品や容器包装への作り変えを行うなど、さまざまな取り組みを行っていく。

幸田町にある「ソニーの森」でどんぐりを収集し、栽培して岡崎の森へ植樹する活動に参加している

活動を通して、子どもたちも自然の大切さを五感で体感

宅配事業を通して組合員や地域とのつながりを築き、共生社会をめざす

「国連や日本政府もSDGs達成のための、我々協同組合の役割に期待を表明していただいています」と話す久保田さん

ウォーカープラス編集部 Twitter