「虹の橋」を渡った兄との別れを漫画にすることは、とても迷った
今回の漫画のテーマは、ある日突然「虹の橋」を渡った兄・らぶについて。ファンタジーを交えて描かれる永遠の別れに、漫画だからこそ表現できる優しさのようなものを感じた。「にゃん旅鉄道」を漫画にするうえで避けては通れないテーマだが、ゆきよみさんは描くこと自体とても迷ったという。
「らぶとの別れを描くことは、ずっと迷っていました。漫画なんだから、楽しいお話だけで良いのではないか?と。でも、らぶが旅立ってしまったことは事実でもあります。そしてそれは、応援している私たちにとっても、すごく悲しい別れでした。その悲しさを漫画の力で、前向きなものへ変えたい。みんなに希望を伝えたい。そして何より、らぶに感謝を伝えたい。そこで、らぶが大好きだった会津の町と共に別れを描けば喜んでくれるのでは?と思い、漫画にすることを決意しました」
別れ自体は心が引き裂かれそうなほど辛く悲しいことだが、寂しくなったときに空を見上げれば、らぶが描いた食べ物や鉄道の雲が浮かんでいる…というラストに希望を感じる。
ゆきよみさんがこの漫画に込めた思いを教えてくれた。
「らぶが虹の橋を渡ったことは、きっと残されたねこ弟妹にとっても受け入れ難いものだったと想像します。今、芦ノ牧温泉駅では、らぶの妹ねこ・さくらが駅業務に奮闘中です。一人で一生懸命働くさくら、本当にすごいなって思いますし、そんな姿に励まされています。連載が始まって数カ月経ちますが、この漫画を描きながら私にはいつも、『さくら』を応援する気持ちがあって。だから別れは悲しいけど、大切なお兄ちゃんはいつもどこでも、ずっと見守ってくれているよと、さくらに伝わればいいなと思っています。そして、らぶのことが大好きだった人々も、芦ノ牧温泉駅の上に広がる大きな空を見上げれば、『らぶに会える』って思えたらという願いを込めました」