鉄道会社の勤務経験も!ゆきよみさんが思う「鉄道の魅力」
らぶとの別れだけでなく、秋の会津の雄大な風景も本作の魅力のひとつ。「塔のへつり」と「観音沼森林公園」を漫画に登場させようと思ったきっかけは何だったのだろう。
「芦ノ牧温泉駅の小林駅長が、おすすめの紅葉スポットとして教えてくれたんです。地元の皆さんに愛される美しい景色ですので、丁寧に描けたらいいなと思い、試行錯誤しました。きっと今年の秋はらぶも、先輩のばすと一緒に会津の絶景を空の上から眺めるんじゃないかなと想像しています」
絶景だけでなく、秋の楽しみとして外せないグルメも漫画に多数登場している。「お座トロらぶ列車」では回転寿司ではなく回転会津料理がふるまわれ、食いしん坊のさくらは目を輝かす。パネルで注文した新米のおにぎりが、芦ノ牧温泉駅に展示保存されている「AT-301」で届くところも、ゆきよみさんのこだわりの一つだ。
実はねこや漫画だけでなく鉄道も大好きだという彼女に、鉄道の魅力を聞いてみた。
「鉄道の魅力…たくさんありますよ~!実は以前に鉄道会社で車両整備の仕事をしていたので、メカニカルな部分も大好きです。でもやはり、『日本の美しい風景に鉄道が走っている』という姿が一番好きですね。都会のごちゃごちゃした街を行く鉄道も、会津鉄道のように日本の原風景を行く鉄道も。私は残念ながら三半規管がすごく弱いので、見る専門ということもあるんですが…(笑)。鉄道は主に目で愛でています」
日本の原風景が残る会津で、多くの人から愛されて立派に駅長を務めたらぶ。そんな兄の姿を見て育ったさくらは、時折空を見上げながら、これからも駅を訪れるたくさんの客を見送るのだろう。さくらの成長と会津鉄道・芦ノ牧温泉駅の美しい風景を、これからも楽しみにしてほしい。
取材・文=石川知京