ビーフコンソメとオニオンコンソメ、市販で人気なのはどっち?
そんな2種類のコンソメスープだが、JALの監修のもと、明治とあみ印食品工業株式会社が実際の機内食をイメージして共同開発を行い、1994年に発売を開始した。「機内で人気のコンソメスープを家庭でも飲んでいただくため」だというが、機内向けと市販品では異なる点があるんだとか。ここからは販売元である明治の宮崎さんに話を聞いた。
「細かい配合成分などについては企業秘密ですが、機内向けと比べてより幅広い方に飲んでいただけるように設計しているため、実は少し味わいを変えているんです。ただ基本的には機内食を意識した作りとなっていますので、お客様には満足いただいてますね」
ビーフコンソメとオニオンコンソメのどちらが人気かは、機内では比較のしようがなかったが、どうやら市販品では売れ行きに違いがあるそうだ。
「ビーフコンソメのほうが人気です。『国内線で飲むおなじみの味だから』というのが主な理由で、売上はオニオンコンソメの3倍ほどあります。ですが、どちらも人気商品であることには変わりなく、日頃から好評の声をいただいております。なかでも印象的だったのは、2020年のコロナ禍の際にいただいた『家庭でJALのコンソメスープを飲むと、少しでも旅行したような気分になれる』というお声ですね。お客様の幸せに貢献できたと、とてもうれしかったことを覚えています」
長年受け継がれる味わいをこれからも!今後のJALの意気込み
約70年という長い歴史を、国際線とともに歩んできたコンソメスープ。「最近では、撮影した機内食の写真をSNSに投稿されるなど、いろいろな楽しみ方が見られます」と野口さんと渡邉さんが話すように、今も時代にフィットした形で人気を博しているようだ。そのほか、印象的だった利用者の声を聞いた。
「『飛行機に乗ったらこれしか頼まない』『フライトの最大の楽しみです』など、コンソメスープを愛してくださる方が多くいます。また、最近では空港で販売されているお弁当、通称『空弁』が人気となっていることもあり機内で食事を楽しむ方が増えていて、『食事のお供としてコンソメスープを選んでいる』というお声も多くいただいております」
なお、現在の国際線では「空の上のレストラン」と題し、高級レストランとのコラボレーションメニューをはじめクオリティの高い食事を提供している。しかし、そんな贅沢なラインナップのなかでも不動の人気を誇るコンソメスープは、やはり利用者にとって特別なひと品であり、フライトにおける象徴的な存在なのであろう。
「弊社は長い間、お客様に最も愛されるエアライングループを目指してきました。長年受け継がれてきた歴史や伝統に裏打ちされた技術や経験こそ、ほかにはない弊社の強みです。これからも“日本の翼”として空の旅を存分に楽しんでいただけるよう、お客様に最高の品質を提供していきます。そして願わくばコンソメスープを通して、弊社のこだわりを感じていただけますと幸いです」
コロナ禍による外出規制が緩和し、飛行機で自由に旅行ができるようになりつつある昨今。コンソメスープの味わいとともに、JALのおもてなしの深さを感じてみるのも一興かもしれない。
取材・文=西脇章太(にげば企画)