アサヒ飲料が実施する、 子供たちに向けた「出前授業」「オンライン授業」とは!?

2022年8月22日

「水」「ろ過」の仕組みを学び、SDGsを身近なところへ置き換えて考えるプログラム


『三ツ矢サイダー』水の未来と環境教室の様子


続いて、「『三ツ矢サイダー』水の未来と環境教室」を見てみよう。こちらは「三ツ矢サイダー」を題材にした出前授業で、「軟水・硬水」の違いや「ろ過」の仕組みについて、実験を通して学習するというもの。授業後半では身近な事例をもとにSDGsについて学び、「水」や「地球環境」に関する項目について「自分たちができること」を考え、環境問題解決への意欲を育むというプログラムである。

【アサヒ飲料・大沼さん】「こちらは小学4〜6年生を対象にしたもので、『水資源について学ぶ』ことをテーマにしたプログラムです。『三ツ矢サイダー』の原料となる水は、日本人が最も飲みやすいと感じる硬度に調整して作っているのですが、子どもたちに軟水と硬水を飲み比べてもらい、『何これ、苦く感じる!』『さっきの水の方が飲みやすい!』など硬度による味わいの違いを体感してもらうことを皮切りに、『軟水と硬水』『水の循環』『ろ過の仕組み』などの学びへと展開します。ここでのアウトプットは、SDGsの課題解決に向けて、自分たちができることについてディスカッションするものです。『世界には水が枯渇している国も少なくない』『その上で私たちができるアクションってなんだろう』などを考えてもらい、各班で付箋に書いて、最後に発表してもらいます。このプログラムは弊社の掲げる重点課題の『環境』と『地域共創』に関わる取り組みです」

水や地球環境に対して、自分たちができるアクションについて考える


コロナ禍で生まれたオンライン版授業は、「自分たちが住む地域」を学ぶプログラム


「アサヒ飲料 発酵文化教室・カルピスと発酵から学ぶ私達の生活や文化」の様子


最後に、オンラインによる「アサヒ飲料 発酵文化教室・『カルピス』と発酵から学ぶ私達の生活や文化」も見てみよう。前述の「『カルピス』こども乳酸菌研究所」と「『三ツ矢サイダー』水の未来と環境教室」は社員らが学校を訪問する「出前授業」形式だが、コロナ禍を背景に、オンライン版の授業として立ち上がったものだ。これまで実施してきたプログラムをそのままオンラインに変えて実施するのではなく、オンラインならではのプログラムとして「自分たちの地元でよく食べられている食品」「地元の気候や食べ物の歴史」など、「自分たちが住んでいる地域」を学ぶことに特化した授業だ。そこに「カルピス」発酵のエッセンスを盛り込み、これまでのプログラムとはまた違う社会科の授業になっているという。

【アサヒ飲料・大沼さん】「各地の子供たちに地元の発酵食について学んでもらいます。1時間目には知識のインプットとして、学校の先生に発酵のしくみや、土地の風土と食文化との関係について授業をしていただきます。この後、1時間目と2時間目の間に『探究活動』という時間があります。これは子供たちがグループに分かれ、地元の発酵食を何か1つ決め、その土地での成り立ちや製造方法、発酵によってどんな変化が起きるのかなどを調べます。ここで調べたものを2時間目に当社社員と遠隔接続し、発表してもらうというプログラムです。これは『地域共創』の取り組みです。『出前授業で育んできた将来世代へのワクワクや笑顔の提供を、どうしたらアサヒ飲料はコロナ禍にあっても地域に寄りそうことができるのか』と悩んでいたことを一つ実現できた授業でもありました」

地域に特化した発酵食を探究をすることで、各地の風土を学ぶ


これからの企業は、財務的価値・社会的価値を両輪で走らせなければいけない 


アサヒ飲料が社会的価値を重視したビジョン「100years Gift」


繰り返しになるが、ここまでにご紹介した3つのプログラムは、いずれもアサヒ飲料が掲げる社会貢献活動の「健康」「環境」「地域共創」のいずれかに伴うものだ。同時にSDGsのターゲットにもリンクする、実に有意義な取り組みである。一方、ここで素朴な疑問もある。これら3つのプログラムは、「カルピス」「三ツ矢サイダー」といった自社ブランドを冠したものになるが、各ブランドの販促的な意味合いはほとんどない。SDGsやサステナブルな取り組み、社会貢献活動を行う際、同時にブランドの販促活動を図る例も少なくないが、この点について、アサヒ飲料はどう考えているのだろうか。最後に聞いてみた。

【アサヒ飲料・大沼さん】「これらの取り組みは『カルピス』『三ツ矢サイダー』が『明日100ケース売るために実施しよう』といったものではありません。100年ブランドを保有する当社だからこそ、100年先の未来を形成していく将来世代へ向けた、社会的価値を生み出すことを目的にしています。これから先、企業は財務的価値だけを追求するのではなく、同時に社会的価値も両輪で走らせないといけません。『商売だけでなく、社会課題の解決にもつなげていくことで、社会に対する良い影響を与えることは当然です。また、企業体として見ても、こういった社会をより良い状態にする取り組みを実施することで、社内にかえってみても組織を構築する社員のモチベーションに良い影響を与え、強い組織になり、会社もより良い状態になると考えています。

『カルピス』も、今から100年以上前、まだ牛乳を飲むことが一般的ではなかった時代に、牛乳由来のカルシウムを含んだ飲み物を作り、人々の健康に役立ちたいという思いから生み出されました。『何かを成し遂げたい』と目的をもって『学ぶ』ことで、ゼロから新しい価値が生まれたのです。これは今の子供たちにも伝えていきたいことです。子供たちに『良質な学びを』などと大それたことを言うつもりは全くないですが、『学ぶ』ことの楽しさ、『夢を持つ』意義を伝えていくことが、社会に良い効果を生んでいくと思いますし、回り回って、私たちに何倍もの価値として返ってくると信じています」

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