日本に花の通信システムを確立して創立70年を迎える「一般社団法人JFTD花キューピット」の歴史とSDGsの取り組み

2024年2月26日

「心に花を添えて贈り、感動を生み出す」をブランドコンセプトに全国各地の生花店のネットワークを活かした花の通信配達を行い、2023年4月に創立70周年を迎えた「一般社団法人JFTD花キューピッㇳ」。これまでの歴史とSDGsへの取り組みについて、広報担当者に話を伺った。

70周年を迎えた一般社団法人JFTD花キューピット


「一般社団法人JFTD花キューピット」は約4100の生花店が加盟し、全国どこへでも花を届けるサービスを行っている。

贈り主は近くの花店またはインターネットで花を注文し、届け先近くの花店がその花を直接届けるサービスだ。広報担当者は「用途や色合いなどを伝えて花屋さんのおすすめを依頼するほか、イメージ写真から選んで注文することもできます。加盟店になるには技術などの審査がありますので、お客様は安心してご利用することができます」と話す。

花の種類は季節によって変わるので、常に季節感あふれる花束やフラワーアレンジメントを贈ることができるという。「花を通して贈り主とお届け先の方の心をつなぐ役割を担っています」。

【画像】相手の好みに合わせた花束や季節感のある花束をチョイスできる


JFTD花キューピットの始まりは1952年。そのきっかけは生花店を営んでいた創立者の鈴木雅晴氏のもとに、日本駐留のアメリカ兵から「母国に花を贈りたい」という依頼があったことだ。当時の日本では花を遠隔地に送ることはまだ難しかったが、アメリカではすでに花の通信配達が行われていた。

「こういう仕組みは日本にもあったほうがいい」と考えた鈴木氏は、アメリカに既にあった花の取引網を持つ組織の機関紙を取り寄せ、その仕組みを研究したうえで全国主要都市の花店に手紙を送り、協力を呼びかけた。また同じ年の9月には、アメリカの花の通信配達組織の概要や、日本の市場規模に合わせた規約を作る必要があることをしたためた手紙を、再度全国の花店へ送付。この呼びかけに応じた22名によって、1953年4月「日本生花商通信配達協会」が設立されたのだ。「当初は会員数が少ないため1店が受け持つ範囲も広く、ときには遠方まで列車に乗って花を届けたこともあったと聞いております」と広報担当者は話す。

創立者の鈴木雅晴氏

鈴木氏が全国の花店に宛てて書いた手紙


日本の高度経済成長とともにこのシステムも急成長し、加盟店も増加。1984年にはお客さんにより親しみを持ってもらえるよう、こうしたサービスに名前をつけることとなり、1218人が参加した加盟店の総会でアンケートを実施した。その結果、今の名前である「花キューピット」に決定。広報担当者は「キューピットという名には贈り主に変わって受け取り主様に心を届けるという意味が込められています」と笑顔だ。

花キューピットが利用される機会は誕生日が最も多く、次いで母の日やお供えなどに利用される。「宅配便の場合、多くは当日に届きませんが、このシステムでは近隣の花店が直接届けるため、注文したその日に相手が花を受け取るということも実現できます」と広報担当者はそのスピーディーなシステムについて話す。

「花キューピットはそのシステムそのものがSDGsです」と広報担当者。「遠隔の配達を行わないのでCO2の排出が削減できます。2022年4月から2023年3月までに150トンのCO2削減を達成しています」。インターネットで注文した場合は、その注文でどのくらいのCO2が削減できたかを表示。利用した本人が環境に貢献したことを実感できる。

配達システムそのものが環境問題に貢献している


またフラワーアレンジメントの器に、木材を原料とするものを取り入れ、プラスチック削減にも貢献している。さらにこれまではインターネットの注文について加盟店へ電話やFAXで取り次いでいたが、メールとアプリを取り入れて紙の使用を削減。「電話やFAXで順次取り次ぐ方法ではどうしてもタイムラグが生じますが、メールとアプリでは即時に注文が伝達されます。このため加盟店側は早めに仕入れや制作、配達の準備ができます。インターネット注文の担当部署、加盟店双方の業務が効率化されています」と広報担当者は話す。

ウッドポットを使ったフラワーアレンジメント


「今後は先端技術をうまく活用し、さらに配達効率をあげ、より環境に優しいシステム構築を行っていきたいと考えています」と話す広報担当者の言葉にますます期待したい。

インターネット注文後に、今の注文でCO2削減がどれだけ削減されたか表示される

一般社団法人JFTD花キューピット自社ビル日本フラワー会館

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